エピソード7



ガ‥カチャッ


キィ~



「ただいま」



バタンッ


「あ!おかえり~」
「ちょうどよかった~」


「今ご飯出来たばっかだから、荷物置いてきといで~」


「うん」


キュイッ

ジャー


パシャバシャ


キュッ


がらがらがらがらぁ…



「・・・」


「はい、座って座って!」
「熱いうちに食べましょ!」


「いただきます」

「はい、いただきま~す!」



もぐもぐ




もぐ もぐ




「…珍しく」


「ん?」



「…テレビ点いてないね」


「田中さんに聞いたんだけどね、『えきしょーのがめん』?って、

長い時間見てると体内時計が狂っちゃうんだって!」


「「お母さん、最近寝不足かもぉ~」って言ってたでしょ」


「でね、田中さんの話聞いたら『これだーっ!』って思って」

「あと蛍光灯もあまり良くないって言うのよ」


「『はくねつとー』?ってのがいいみたいなんだけど、

お母さん、そういうのあんまり詳しくないから」



「暖色系の照明だね」

「そうそう!それそれ!」


「『だんしょくけー』?ってのが、夜のうちの明かりにいいみたいなの!」



「希さんのお店にもいくつかあるけど…」


もぐもぐ



「…どれもテーブルランプくらいの大きさ、かな」



「そういえば置いてあったわね・・」

「でもああいうのって高いんでしょ?」



「どうだろ…」



「お店にあるのは基本、


希さんが直で輸入してるものばかりだから」



「…それに『アンティーク』…古いものも多いし」

「さすがに『アンティーク』くらいはお母さんだって知ってるわよぉ!」


もぐ  もぐ

「アンティークって高いけど、その分作りがしっかりしてるからね~」


「お母さんも憧れはあるけど…

ウチじゃあねぇ~ 爆笑」


「かえってアンティークが可哀相になっちゃうわぁ 笑」



「…希さん、センスあるから」



「全部買い換えないと、無理かもね」


「あーこわいこわい 笑」


もぐもぐ




「…今日は大丈夫だった?」



「うん…」



「希さん、理解もしてくれてるし」


「そんなに大勢の中ってわけじゃないから」



「…大丈夫になってきた」


「そう」



「それに…」



「兄さんも心配してお店に顔出してくれるし…」


「今日も兄さん、来てくれたんだ」

「悠斗、優しいからね~」



「でも」


「今日は珍しく1人だったけど」


「…いつも隣にいる女性が違うから」



「その対応には困る…笑」

「笑」


「それはぜったいお父さん譲りよ!!」




もぐもぐ




もぐ もぐ



「…向こうの様子とかなんか言ってた?」



「ううん…」



「特には何も」



「少し話して…」


「「美味しいシチューが待ってるからぁ」って出て行ったから…」


「まぁでも、悠斗が自由に過ごせてるみたいだから…」

「大丈夫なのかもね」



「そう、かもね…」



もぐもぐ



「…ごちそうさま」


「洗い物置いといていいからね!あとでお母さんやるから」



「うん、ありがとう」

「あと明日病院でしょ!診察券と保険証、忘れずにね!」



「うん」



「おやすみなさい」


「はい、おやすみぃ~」




「あ…」


「ん?」



「…テレビ観なかった効果、出るといいね」


「きっと出るわよ!」

「だって田中さんが教えてくれたんだもの 笑」


「寝坊しないように目覚ましかけとかなくっちゃ!」



「そしたら、わたしが起こしてあげるよ」

「本当!」


「じゃあもしまだ寝てたら、さくちゃんお願いね!」

    



「うん…じゃあおやすみ」


「おやすみぃ~」




とん  とん… 




「…ふぅ」

焦らない、焦らない




とん  とん…



                 パタン



「スゥーーー……はぁぁぁ」




おやすみなさい





カチッ


theSUNreason.

文字を楽しむ 『文楽(ぶんがく)』 日常をそのまま切り取る 『フォトグラファー』 日向理のホームページへようこそ。