エピソード10



とあるくにの とあるまちに
おかねもちの「リッチー」と
びんぼうな「プーア」がいました


リッチーとプーアはともだちではありませんでした
プーアはともだちになりたかったのですが
リッチーは「プーアはびんぼうだから」と
ともだちにはなってくれませんでした


まわりも「びんぼう」のプーアと
ともだちになるひとはすくなく
「おかねもち」のリッチーと
ともだちになるひとがたくさんいました


リッチーとプーアのすむまちには
おもちゃやさん、おかしやさん、
くつやさん、パンやさん
たくさーーんおみせがありました


おみせのひとたちはみんな
リッチーのことはしっていました
なぜならリッチーはぜーんぶのおみせの
じょーれんさんだったからです


でもおみせのひとたちは
プーアのことはしらんぷり
なぜならプーアはおみせでいちども
おかいものをしたことがなかったからです




あるひのこと、おみせがならぶとおりのかたすみに
ひとりのおじいさんがすわっていました
そのおじいさんはただすわっていたのではなく
おなかがすいてすいてたべるものもなく
たてるげんきもなかったのです


リッチーがそのとおりをあるくと
まわりにはたくさんのともだちがあつまりました
そしておみせのひとはみんな、
リッチーにおみせにきてもらえるよう
こえをかけたりてまねきをしたりと
いろんなことをして
リッチーのきをひこうとしていました


たくさんのともだちもおみせのひとも
おなかがすいてこまっている
おじいさんにはきがづきませんでした


リッチーもなにをかおうか、なにをたべようか
そればかりをかんがえていたので
おじいさんのまえをとおっても
まったくきがつきませんでした



プーアがそのとおりをあるくと
おみせのひとはみんな
おみせのなかからでてきません
なぜかというとおみせのひとはみんな
プーアがびんぼうだとしっていたからです


でもプーアはひとりぼっちではありませんでした


プーアとおなじように
まわりのひとやおみせのひとにあいてにされない、
「びんぼう」なひとたちがいたからです
プーアはそのひとたちとともだちでした
じぶんたちでいろんなあそびをおもいついたり
いろんなものをつくったり
まいにちたのしくすごせていました


そしてどうぶつやむし、おはなや
おおきなきもプーアのともだちなので
たべるものにもこまりませんでした

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