エピソード15
カランコロ~ン♪
「いらっしゃいませ~って…なんだ」
「なんだ言われちゃった 笑」
「常連さんですよ僕、『じょー・れん・さ ん』」
「その常連さんが何か買ったとこ、わたし一度も見た事ないんだけど」
「それはまだ『これだ!』っていう巡り会わせがないだけで」
「中途半端な気持ちで買ったら、逆に可哀想じゃないですかぁ」
「ははーん」
「ん?…なんですか?」
「希さんが君を気に入ってる理由、今判った」
「へへ 笑」
「で桜さんは何してるんですか?」
「ん?」
「新しいのが入ったからポップ作ってるの」
「ふーん…」
「このイラストって桜さんが描いたんですか?」
「そうよ」
「桜さんって絵の才能あるんですね」
「どうなんだろ…意識した事ないから自分でも解んない」
「ホンモノだぁ」
「なにそれ」
「だって意識しないでこれだけ描けちゃうって事ですよねぇ…ホンモノだ」
「今のうちにサイン貰えます?^^」
「なに言ってんだか 笑」
「サインなんて考えたこともないし」
「考えといたほうがいいですよ!必要な時がぜーったいくるんで」
「それと…」
「なに?」
「桜さん、素敵な笑顔をされるんですね^^」
どきっ
「ちょ!?」
「急に何言ってるの! 恥」
「僕常連さんですけど、桜さんの笑った顔初めて見たから…」
「思ったことを素直に口にしてみました 笑」
「あ」
「わたし笑ってた?」
「はい、とてもチャーミングに^^」
どきっ
「そういう余計なのはなし! 恥」
「歳上をあんまりからかわないの!」
「はい、これ!」
「ん?」
「新しく入ったやつ」
「『これだ!』って出会いを待ってるんでしょ!」
「やっぱり希さんって、センスありますよねぇ」
「どうやってこういうの見つけてくるんだろ…」
「『これだ!』ってなった?」
「確かにこれ、素敵ですけど」
「でしょ!」
「でもこれアクセサリーボックスですよね」
「!!」
がばっ!
「ここに鏡もついてるし」
「・・・」
「…ポップ仕上げなきゃ」
「ははーん」
「・・・」
「ひとの気持ちって連鎖するって知ってました?」
「…なにいきなり」
「泣いてるひとや怒ってるひとが近くにいたら、
なるべく関わらないよう、その場から離れるひとが多いじゃないですか」
「・・・」
「あれって実は、悲しみとか怒りとか…
『負の感情の連鎖』から逃れるために、『自己防衛本能』が働いてるんですよ」
「・・・」
「でも中にはその場から離れずに、
泣いてるひとに「大丈夫?」って声かけたり、
怒ってるひとを「まあまあ」って
なだめたりするひともいるじゃないですか」
「…うん」
「あれって慈しみや優しさみたいな、プラスの感情で相殺して、
その感情からそのひとを解放してあげてるんです」
「勿論『プラスの感情』も連鎖するんですよ」
「遊園地が楽しいのは、色んなアトラクションがあるからってのもあるんですけど、
ひとの、『楽しい!』って気持ちが溢れてる場所だから、
行くだけで楽しい気持ちが連鎖するんです」
「・・・」
「笑顔も連鎖するって知ってました?」
「…ううん」
「心が落ち込んでいても、こうやって口角をあげて^^」
「カタチだけでも笑顔にすると、それだけで周りに笑顔が連鎖するんです」
「で、その連鎖した笑顔は知らず知らずに自分に還ってくるんですよ」
「・・・」
「桜さん、試しに笑ってみてください」
「え!?この流れで!?」
「はい、この流れで^^」
「・・・」
に、にこっ^^
にこにこ~~~~っ!!^^
「桜さんの素敵な笑顔、また見れました^^」
どきっ
照
「あれ?もしかして…照れてますぅ? 笑」
カーーーーーッ!! 赤面 照
「今のバカにした笑いでしょ!!」
「桜さん僕、お客さん、『お客さま』 笑」
「あ、そっか」
「ありがとうございました~!^^」
「えーー」
カランコロ~ン♪
ふふっ^^
カランコロ~ン♪
「あ、希さん、お帰りなさい」
「もしかしてかなたくん来てた?」
「はい、さっきまで」
「桜ちゃん、珍しく今日はニコニコなのね^^ なんかいい事あった?」
「希さん、そんなことよりも後ろ…お客さんきてますよ」
「あ、…いらっしゃいませ~♪」
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