Episode.19



「ふっふふ~ん♪」

ドー、ド#ーレー…レ#ー♪


ミーファファ#ソソ#ララ#シドー♪


ガラガラガラァ…

「あれ?ノンは?」


「さっき部室行ったぁ」

ガラガラガラァ…


ドー、ド#ーレー…レ#ー♪


             「半音も出来るようになってきたね♪」


「ああ~小指つるぅ~」



「やっぱ小指の扱いが不当だよぉ」


「他の指は押さえたキーから離れないのに」

「小指に仕事、押し付け過ぎじゃない?」


「しかも両方の小指だよぉ!?」


「慣れると楽しいよ♪」


「しかも重いから」

「首にストラップが食い込んで、チョー痛い」


「慣れると楽しいよ♪」


「これ慣れて楽しかったら、完全Mでしょ!」


「ふふ^^」


「可愛く笑っても従わないかんね」




「のぞみセンパーイ!」

「あ、なっちゃんの声だ」



 タタタタ…


ガラガラガラァ…


「のぞみ先輩」

「ん?なに?なっちゃん」


「…なんかノン先輩が急に、

部室の片付けし始めてるんですけど」


「ああ、気にしないで」


「好きなようにやらしといてぇ^^」


「はーい」


ガラガラガラァ…


タタタタ…



「なに?ノン、メモリ増設したの? 笑」


「今はじっとしてらんないんだってさ」


「ふーん」


「ノンってさ、なんでも一度決めると、

行動に移すの超早いんだよね」


「そうなんだ」



「ノン、告白すんだってさ」

「うっそ!?」


「でもなんかよくわかんないんだけど、

「付き合ってください!」っていう告白じゃないんだって」


「なにそれ」


「私も「なにそれ」って言った」



「なんかね、『気持ちを知り合いたい』んだって」



「『気持ちを知り合いたい』…」


「謎だよね 笑」




「ちょっと分かるかも…」

「うそ!?」


「あ」


「『おんなじ!』っていう意味じゃなくってね」

「うん」


「もし『一方通行同士』だったとしても、

それを受け入れられるくらい『好き』なんだと思う」

「なにそれー」

「…って思うけど」



「…なんかノンっぽいかも」


「っぽいよね」

「私もムリだけど 笑」


「でもさっき希、「行動に移すの早い」って言ったでしょ」


「もう「告白のアポ」は取ったんだって」

「はやっ!Σ( ̄。 ̄ノ)ノ」


「試合あんの日曜なのに



…って」





「あ」






「あ~あ 笑」


「今の聞かなかったことにして!!」


「わかってるって♪」

「2人の友情、壊したくないもん^^」


「あっぶねー…(;・∀・)」



「ノン、観に行くの?日曜」


「…それがさぁ、行かないんだって」

「行かないんだ!?」


「ビックリするでしょ~、やっぱ」


「好きな人が活躍する姿、

観たいと思うのにね、フツーは」


「元々ノンは、スポーツに興味がないってのもあんだけど」

「『そういう好き』とは違うんだってさ」


「『そういう好き』?」

「謎でしょ?」


「うん、そっちはわたしも分かんない」


「『恋の天才』にもわかんなきゃ、

私には到底理解できないやつだ 笑」


「だから『天才』じゃないって 笑」

「ふふ 笑」



「んで?」


「ん?」



「さっき言いかけたやつ」



「あ」



「聞いても聞かなくてもオフレコにするし」


「でも希が話したくないって言うなら、


無理強いはしないけど?」


「沙織ちょーズルい」

「私が話したがってんの、知ってて言ってるでしょ」


「あは♪」



「試合あんの日曜なのに、昨日チャリ貸したんだって」


「ん?なんで?」


「告白するとこ、ちょっと遠いんだって」


「ノンもそこ行くのに?」


「ノンは歩いて行くんだって」


「健気だねぇ、ノンって」


「私もおんなじこと思った 笑」


「なんか、「1人で歩いて行ったほうが、

気持ちが落ち着くかも」なんだって」


「ふーん」




タタタタ…


「あ!誰かきた!」



ガラガラガラァ…

「希ー!」


「やっほー♪」

「あ、沙織もいた」


ガラガラガラァ…

                


           「部室掃除してたら」


        「ほら!」

「すごーい!」

「お!ジャラ銭だ!」


「いくらあんの?」


       「ちゃんと数えてないけど…

       3千円くらいはあるかも?」


「それ部費にまわす?」


    「これ一個いっこ誰が落としたかなんて、

         分かんないでしょ」


「そりゃまぁ…」


    「だからこれは見つけた私のもんって事で」

「まわさないんだ 笑」

「でた、『真面目じゃない』モード 笑」


       「これ位いいでしょ^^」


     「これで今からファミレス行こうよ!」

「ホント!」

「やった!」


「あ、でも追加のスイーツは自腹だからね」

「ええ~、3千円あるからいいじゃん」


   「あれ?でもノン…」

                       「ん?」

         「今日チャリないでしょ」

「あ」


「大丈夫」

「わたしのステップついてるし♪」

「さすが『恋の天才』!」

「ふっ 笑」


ガラガラガラァ…

「ノンに鼻で笑われちゃったじゃん 笑」


「だって『チャリにステップ』だよぉ~?」    


「完全上級者じゃん! 笑」


「ふふ 笑」



「沙織ぃ~」

 「行くよ~!」


     「はーい!」




ガラガラガラァ…


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