Episode.12



ガチャッ!


キィ~


「灯里さん灯里さん灯里さん!!」



バタン!



「あ、愛菜ちゃんおはよー」


「暢子さんが暢子さんが暢子さんが!」


「何ぃ、どしたの?」



「あ、取りあえずお帰りぃ」


「どうだった?『京都・奈良』は」


「はい、これお土産です!!」

「ありがと」


「それよりも暢子さんが!!」


ガサッ

「ち、ちょうちん…」


キュイッ ジャー


がらがらがらー!


ガサッ

「しかも、京都と奈良1個ずつ…」


    「片方だけじゃアレかなぁって思って



…ってそうじゃなくって!」


「暢子さんの後ろ姿が、お店にズラーッて並んでたんです!」

「へ?」


「CD屋さん行ったら、Mikaさんのアルバムが並んでたんですよ!」

「え!?うっそ!?」



「なんかMikaさん、元々京都のひとみたいで、

『いま注目の!』って感じでお店がチカラ入れて宣伝してて」


「ん?」


「「この人知り合いなんです!」って言いたくてしょーがなかったけど、

グッとそこはガマンして

「ちょい待ち」


「はい?」



「愛菜ちゃんは『京都と奈良』で、


何してきたのかなぁ?」



「んー…ラーメンと豆餅と….あ!あとかき氷食べてぇ」


「んで他にやることなかったんで、お買い物してました^^」


「ほぼ『グルメツアー』やん!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」



「でも灯里さんの言いつけ通り、『都会じゃない空気』も吸ってきましたよ?」


「どこ行ってきたの?」



「…どっかの…山?」


「場所は忘れちゃいました 笑」


「あ!あと鹿におせんべいあげてきました!」



「…はぁ」


「で!で!」


「そのお店だけが「頑張って盛り上げましょー!」って感じでもなくって」


「ホントに最近注目されだしてるみたいで、

帰りの新幹線でもネットで色々見たんですけどぉ」


「なんと!次出すアルバムが、全国で出るみたいなんです!」



「んーじゃあ…今行ってるのは、そのアルバムの為なのかもね」


「なんか知り合いが有名人になるって、超ワクワクしません?^^」


「まぁ…メインじゃないし、後ろ姿だけだけど 笑」



「んで旅の成果はあったの?」


「んー、『鹿の角が生えた一休さん』とか?」


「んーそれは色々パクってるね」


「やっぱりそうかー 笑」



「って…


それひとつだけ!?」


「あとそのちょうちんです♪」




「…はぁ」



「後々それが糧になることを信じてるよ…」



「あ!あともうひとつありました!」

「お!なになに?」



ガサゴソッ

「灯里さん、甘いものとか食べますぅ?」



「・・・」



「はい、これ!」


「生八ツ橋…」「生八ツ橋!!」


「って灯里さん、よく分りましたね!」


「すごーい!」



「うん、愛菜ちゃんも色々凄いと思う…」


「そうですかねぇ 照」



「…はぁ」



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