Episode.14

「んで」

「行ったら部屋がひとつしか空いてなかったと…」

「策士だねぇ、暢子」

「愛菜ちゃん聞いたら驚くよぉ？」

「だから意図してません！って 苦笑」

「まぁアタシとしてはぁ、

健治さんの「ちょうちょ」の話で、ひとつアイデアもらえたから」

「『口止め料』はそれでじゅーぶんなんだけどね 笑」

「でも結構コンスタントに会ってたから、

そういう流れにいずれはなるんだろうなぁなんて思ってたけど」

「あっちゃこっちゃ２人で行ってるし」

「あちこち行ってるのは、ここ周辺ばかりだと私の、

身バレもあるかもって、心配してくれてのことで」

「あと、Mikaさんのイメージに合うように、

いろんなパターンを用意しておいた方がいいって」

「なるほどぉ」

「策士なのは健治さんのほうなのか 笑」

「意図してない！

…と思います、たぶん…」

「健治さんからしたら『暢子が』、

健治さんにとっての『ちょうちょ』だったってわけねぇ」

「んで追っかけたら…

罠に引っ掛かったっていうオチ 笑」

「だから違います！って 苦笑」

「でもいろんなパターンを用意しとくってことは、

『全国デビュー』は、その砂丘で撮ったやつじゃないってのもあるのか…」

「全国デビュー？」

「あれ？暢子、健治さんから聞いてないの？」

「何をですか？」

「みかちゃんの次のアルバム、全国で発売するみたいよ」

「そうなんですか！」

「Mikaさんの歌、素敵ですもんね＾＾」

「ふーん」

「ん？なんですか？」

「「なんで教えてくれないの！」とはならないんだぁって思った」

「健治さん、いつも事後報告なんで…諦めてる部分はあります 笑」

「それにアルバムの、ジャケット写真に写ってるってだけで…

それ以上も以下もありませんから」

「そういうとこはクールなんだよね、暢子って」

「愛菜ちゃんはかなーりエキサイトしてたから 笑」

「戻ってきたら、向こうの温度に少し合わせて話してあげな」

「そうですね、そうします＾＾」

「んで結局」

「ん？」

「あんた達はどんな関係になったのよ」