Episode.16
「んー…」
「私にも分かりません 笑」
「えー」
「暢子がわかんなかったら、アタシ絶対理解できないやつじゃん」
「勿論好意はありますよ?好意は」
「そしたらもっとこう…いい感じの展開になって」
「それこそ『行為』に至っちゃうんじゃない?普通」
「灯里さん、発想が『エロ親父』です 笑」
「オヤジじゃないし、エロつけんなー!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」
「ふふ 笑」
「ドラマみたいな展開って、
どっちかが狙いにいかないと無理じゃないですか」
「ん?」
「だからみんな、狙って恋愛してんじゃないの?」
「まぁそうなのかもしれませんけど…」
「私と健治さんの場合は、お互い狙いにもいってませんし、
灯里さん好みの脚本を書いてる人も、いませんでしたから 笑」
「健治さん、『ふんがふんが』してなかったかぁ」
「『ふんがふんが』って 笑」
「なんだかドキドキするっていうよりも、安心感の方が大きくって」
「じゃあホントになんにもなかったんだ」
「だから何もなかったって言ってるじゃないですか」
「でもさ、若い男女がひとつ屋根の下、夜を共にして…」
「あんた達…何して過ごしてたの?」
「温泉入って疲れを癒して、お茶菓子2人で食べて、
眠くなったから別々の布団で寝て…朝、バイキング食べて」
「もうそれ『熟年夫婦』じゃん!」
「ふふ、確かに 笑」
「もういっその事、恋愛すっとばかして結婚しちゃえば? 笑」
「ふふ 笑」
「でも健治さん、『イケメン』だから」
「恋愛たっくさんするんじゃないんですか?この先」
「まぁ…そうだろうね 笑
アタシの守備範囲じゃないけど 笑」
ガチャッ!
キィ~
「買ってきましたぁ~」
バタン!
「あ、おかえり~」
「ユーリンチー、売り切れだったんで、
のりから揚げ買ってきました!」
「え!?売り切れ!?」
キュイッ ジャー
がらがらがらぁ〜
「灯里さん、こないだ油淋鶏食べませんでした?」
「あれですーっかりハマっちゃって 笑」
「あ!暢子さんおかえりなさい!」
「ただいま^^」
「じゃあ私、お茶淹れますね」
「緑茶とほうじ茶…
「ほうじ茶」
了解です^^」
キュイッ ジャー
「いっただきまーす」
「あ!暢子さんわたしも!」
キュイッ
カチッ
「あれ?愛菜ちゃん、ダイエットは?」
「する必要なくなりました!」
もぐもぐ
「ん?いまいちよく分からんぞぉ」
「わたし、彼氏できたんです!」
「うっそ!」
「ホントです!」
「愛菜ちゃん、おめでとう^^」
「ありがとうございます!」
「でも彼氏できたら、キレイになりたいとか思わない?」
「「わたし今ダイエットしてる」って言ったら、やせなくっていいって」
「「今の愛菜が好きなんだ」って言ってくれたんです♡」
「『ぽっちゃりがタイプ』って自分で言ってました!笑」
もぐもぐ
「なるほどぉ」
「それで今日のお弁当は…」
「のりハンバーグの大盛りです!」
「くす 笑」
「愛菜ちゃん、その量は…解禁しすぎ 笑」
「今日はいいんです!」
「今までガマンしてきたご褒美ですから!」
「明日からはぽっちゃりメニューにするんで」
ピィ~
「『ぽっちゃりメニュー』って初めて聞いた…」
「いただきまーす!」
カチッ
「今日、健治さんは?」
もぐもぐ
「今日もカッコよかったです!」
「ぶっ 失笑」
「愛菜ちゃん、彼氏できたんでしょ!笑」
「彼氏は彼氏」
「健治さんは…目の保養です!笑」
「だってさ 笑」
もぐもぐ
「なんで私に振るんですか 笑」
「暢子ね、その健治さんと一夜を共にして、
なあんもなかったんだよ 笑」
「え!?Σ(`Д´ )マヂデスカ!?」
「健治さん、『ふんがふんが』してなかったんですか!?」
「してなかったよ 笑」
「はい、お茶どうぞ」
「あんがとー」「ありがとうございます!」
「なんか、ますます健治さんカッコいいじゃないですか、それ!」
「愛菜ちゃん、健治さんとそういう状況になったらどうする?」
「愛菜ちゃんに何聞いてるんですか 笑」
「迷わずその場から逃げます!」
もぐもぐ
「イケメンと2人っきりなんて…ドキドキし過ぎで具合悪くなりそう 笑」
「暢子たち、温泉入ってお茶菓子食べて、眠くなったから寝て、
朝起きてバイキング食べて…んで帰ってきたんだって」
「『熟年夫婦』ですよ、それ!」
「なんですかその、よゆーぶっこいてる感じは!笑」
「彼氏なんて2人きりになったら、ずっと『ふんがふんが』してますよ!」
「ってか男の人って、みんなそういうもんだと思ってました」
「まぁアタシからしたら?、最初の頃の2人のやりとりが既に、
「プロポーズされてるやん!」って思ってたんだけどね 笑」
「2人のやり取りって?」
「だってさぁ「これから先、ずっと撮らせてください!」ってさあ、
もうそれ「ずっと一緒にいてくれ!」って言ってるようなもんだし」
「それに対して暢子、「健治さんじゃなきゃダメ」って答えてるんだよぉ?」
「もうウェディングベル鳴っちゃってるでしょ」
「確かに!」
「わたし米まいてますね絶対!」
「…そう考えるとしっくりきますね」
「まさかのマジレス!Σ( ̄。 ̄ノ)ノ」
「いいなあ」
「未来の旦那さまに写真撮ってもらって、
それが全国デビュー
…って
そうだ!!暢子さん!」
「全国デビューですよ!!ついに!」
「ジャケットの写真だけどね 笑」
「暢子さんの、名前とか載るんですかぁ?」
「んー、多分今までと同じで、名前は載らないとは思うけど…」
「その話、まだ健治さんから何も聞かされてないの」
「え!?Σ(`Д´ )マヂデスカ!?」
「いつも事後報告だから、今回も出てから話があるんじゃないかな 笑」
「…じゃあテレビの話もしてないのかぁ」
「ん?テレビ?」
「さっき健治さんとちょこぉっとお喋りしたんですけど、
Mikaさん、深夜の音楽番組に出るみたいで」
「健治さんも一緒にテレビ出演するみたいなんです!」
「うっそ!」
「暢子、健治さんから聞いた?」
「いえ、何も 笑」
「それも事後報告なのか!? 笑」
「でも健治さん、地上波デビューしちゃったら」
「健治さん推し、一気に増えちゃいますよ、きっと!」
「今のうちに暢子さんのほうから『ふんがふんが』しないと、
他の誰かに取られちゃいますよ!」
「私が『ふんがふんが』? 笑」
「アタシも愛菜ちゃんにさんせー、かな」
「灯里さんまで 笑」
「ホントに大切なものって近くにあると、案外
その大切さに気づきにくいものだし」
「『熟年夫婦』で余裕ぶっこいてる間に、ちゃんと気付いとかないと」
「だってもう、ライスシャワー浴びちゃってる状態なんだから」
「誰だって後悔したくないし、後悔って未然に防げるもんでもないでしょ」
「ほえぇ~( ゚ ρ ゚ )」
「なんか今日の灯里さん、カッコいい…」
「『今日の』が余計」
「ごちそうさまー」
「午前中の続き始めちゃうよぉ~」
「え!?」
「わたしまだ全然食べ終わってない…」
ガチャッ!
「…あとで食べます!!」
バタバタバタ…!
「いってきます!」
「いってらっしゃい^^」
バタンッ!
ずずっ
「…ふぅ」
ふんがふんが、か…
「お茶、美味しい」
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