Episode.13



「でもなんでその、外面美人の本性が判ったの?」


「不倫相手の奥さんが、浮気の証拠画像添付して、メールでバラしたの」

「杉下理紗を除いた楽団員全員に」

「げっ!?」


「自分のマンションに隠しカメラ設置して、自宅で浮気できるよう仕向けて」

「その奥さんも凄いね…」


「そのあと、慰謝料たんまりふんだくって離婚したんだけどね」



「でも相手が指揮者だったから、みんな話題にしづらかったんだけど」


「陽介氏がおんなじタイミングでいなくなっちゃったから、

杉下理紗が、悲劇のヒロイン気分で号泣状態になっても、周りはみんなドン引きで」


「そりゃひくわぁ…」


「さすがにその雰囲気で、不倫してたのがバレたと思ったのか、

ドロンッ!って楽団を辞めちゃったんだけどね」


「まさか、今になって出てくるとは思わなかった…」



「ひょっとして」


「ん?」


「最初に電話した人って」

「そう、その不倫相手」


「うわっ、緑川もすげーなぁ…」


「だってその人しか思いつかなかったんだもん」



「ちなみにその吹奏楽団って、どこの大学の?」

「本州大」


「チョー頭いいじゃん、その女!」



「頭よくって強かで」

「不倫しながら陽介氏に目ぇつけて」


「私と付き合ってた親友にまで色目使って手ぇ出して」

「それを『他の』本州大生を騙しながら出来るくらいの女だよ?」


「ホントは助っ人2人が来て、免許証の写真見て確認してみたら、

「私の単なる勘違いでしたぁ、ちゃんちゃん!」

って終わればそれでいいんだけどさ」


「一度会って食事をした健治さんと、今度は大切な話があるって接触してきた」

「それで私や健治さんの身の危険を、希は感じたんだね」

「うん」



「そのやべえ状況のど真ん中にいんのに…やっぱノンって、チョー肝すわってんな」

「女ってホントすげーな、色々」


「スクールカーストの茨の道で、相当鍛えられてんだから」

「女の思考を甘くみんなよぉ~」


「しかもその『杉下理紗』ってのは、森田くんみたいな、

プロのアスリート級なんだから」



「もうそれ、ラスボスじゃん…」


「女ってマヂこえぇな…」




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