Episode.14



カラコロ~♪



「お前さんたち、助っ人が来たぞ」



「あ、2人一緒にきた」



   「希ちゃん、久しぶり」

    「よっ」


「今日はありがとうございます」



「ううん、大丈夫」



「カウンター、どうぞ」

「ありがとうございます」



「来て早速なんですが」


「先ず私から紹介しますね」



「『小鳥遊仁美』さんに」


「はじめまして」



「最低男の『武田拓也』」


「なんだよ、その紹介は」



「拓也には電話で言ってなかったけど」

「理紗ちゃんも絡んでるから、この話」


「えっ…」



「時間が勿体無いから、

2人が誰かって説明はもう済ませてあるの」


「そ、そうなんだ…」


「でも安心して」


「もう11年前のことで、拓也を責めたりはしないから」




「で、この3人が高校の時の同級生」



「こっちが緊急事態真っ只中の、当事者の『片岡暢子』で」


「お忙しい中、ありがとうございます」



「でこっちが

「森田翔くん」


「え!?」

「仁美さん、森田くん知ってるんですか?」


「うん、知ってるよ^^」


「私、高校ん時女バスだったんだもん」

「え!?マヂですか!?」



「それに治氏もバスケ好きだから」

「森田くんが日本代表で出た試合とか、観に行ったことあるし」


「やべっ、有名人が俺のこと知ってるなんて…」

「だから翔も、「一応」有名人なんだって 笑」


「で、その森田くんの奥さんの『森田沙織』」


「はじめまして^^」


「マスター!この2人に私のブレンド出して!」


「はいよ」


「でね、2人に簡単に説明…できんのかなぁ、私…」




「お二人とは初対面なんですが…私がなるべく簡潔に」



「私が今お付き合いをしている方は、『落合健治』さんという方で、

写真をきっかけに知り合ったのですが、彼は写真以外にもピアノもやっていて」


「『Mika.』っていう、シンガーソングライターのサポートで弾いてるんです」

「えっ!?Mika.って

「しっ!今は黙って聞いてる」



「彼、話し始めるようになってから、

付き合っている今まで、自分の昔話を全然しなくって」


「ご両親の話を聞いても、いつもはぐらかされて終わっちゃうんです」



「それでMikaさんがテレビ出演をした時も、彼女のバックで演奏してたんですが、

そのテレビ出演後のライブに杉下理紗さんがいらして、健治さんに会って挨拶もして」


「どうやら昔を知ってる感じだったので健治さん、

一度杉下さんと2人で食事をしたんです」



「最初は杉下さんのお勧めのお店に行く予定だったんですが、彼、並ぶのが苦手で

「ちょっと待って!」


「黙って聞いてるんじゃなかったっけ」


「健治さん、そのお勧めの店ってどこだか言ってた?」


「うん、『とんぷう』っていうとんかつ屋さん」


「『とん風』!?」



「やっぱりそこか…」


「ごめん、いいよ続けて」



「で、別のお店で探りを入れたら、どうやら

以前、バイト先が一緒だったってのが判明して」


「健治さん、どの食べ物屋さんに行っても、即決で注文するものを決めるひとで」

「殆どメニューを見てないんじゃないかって思うくらい早いんですけど」


「杉下さん、その、彼が即決で決めるって事も、

「相変わらず早いんですね」って感じで知ってたんです」


「陽介もめっちゃ決めんの早かった」

「うん、メッチャ早かったね」



「でも健治さん、その判明したバイト先では、

男性の社員さん以外とは食べたことがなくって」

「飲みに行ったりとかも全部断ってたんで、その社員さん以外、知らない筈なんです」


「で、しばらくして、また杉下さんのほうから今度は、

「大切な話があるから、2人きりで話したい」って連絡があって」


「それで来週会うことになってるんです」



「で」


「その話を聞いた私は、ノン…暢子のあだ名なんですけど、

ノンが付き合ってる『落合健治』さんが陽介氏なんじゃないかって思って」



「その、杉下理紗の言動からすると…よーすけの可能性は大だね」


「それに来週会うってのが…なにするか分からなくって、ちょっと怖い」


「拓也も、あの女の怖さをじゅーぶん分かってるでしょ?」


「…ヤバい状況だってのは理解できた」



「それで2人に見てもらいたいものがあって」



「これなんですけど」


「うわっ!?」

「!?」


「本人って言われても、すごい似てる人って言われても、

どっちも納得できちゃう感じだ…」



「拓也はどう?」



「・・・」



「拓也ぁ!」



ぽろっ

「・・・」



「…ぐすっ」



「拓也?」



「…ようすけ」



「ん?」



「この写真、陽介だよ…」


「…なんでわかんの?」




「ぐすっ…」




「拓也!」



「…ぐすっ」


「これだとちょっと分かりにくいけど…」



「左眉のちょっと上に、


傷跡がみたいなのがうっすらとあるでしょ…」

「あ!」



じーっ



「ホントだ、あるね…」



「…高校ん時に、2人で自転車乗って遊びに行った時にあいつ…

足で前輪に付いてるライトを点けようとして」


「…つま先が前輪に入っちゃって、結構派手に転んだんだよ」



「そん時に、石かなんかでそこを切ったみたいで」


「「痛ってぇ…」って言って、

起き上がった陽介の顔が、血だらけになっちゃっててさ…」



「慌ててあいつのお袋さんに連絡して」


「幸いにも、その怪我だけで済んで…」



「…陽介は逆に「顔に傷のある男って、

修行して強くなったように見えね?」って」


「しばらく学校でネタにもしてたから」




「俺、100パー自信ある」


「陽介だよ、この写真」



「ぜったい」




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