Episode.18



「それで」


「具体的に何するかは決まったの?」



「大体は」




「先ず、拓也の確信だけじゃ

『陽介氏=健治さん』ってのは断言できないし、

そこを杉下理紗に見抜かれたら、作戦は成立しないって思ってて」


「うん、不確定要素はなるべく無くしたほうがいいね」


「だからノンには、健治さんの本籍地を調べてもらおうと思ってる」



「お?本籍ってのは免許に書いてなかったっけ?」


「あれ?マスター、免許持ってなかったんだ」


「移動は電車で十分なんだよ」

「それに車は維持費がかかるだろ?」



「免許ってもう、結構前からICチップが入ってて」

「それに本籍地の情報とか入ってるから、免許に記載はされてないの」


ガサゴソ…

「あ、ホントだ」


「気づけよ!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」



「直接健治さん本人に聞くか、

委任状書いてもらって、住民票をゲットするか」


「あと…うちで働いてる桜ちゃん、イラストとか描くの超上手いから、

最悪、委任状をうちらでつくることも出来るけど」

「それ犯罪やん」


「でもそれ使って悪い事するわけじゃないし、

色々終わってから、本人にそれ話せば大丈夫だよ」



「そこは多分、私が健治さんに聞いちゃうと、

私達が自分の知らないところで何かやってるって、

杉下さんに突き止められる可能性もあるし」


「だから、さくらさんのチカラを借りるほうがいいかもしれない」

「私、印鑑ある場所は知ってるから」


「オッケー、じゃあ次会った時に

「で、これが健治さんのサイン入りの、MikaさんのCD」


「何かのためにって、持ってきておいてよかった」


「サイン入り?」

「健治さん、サイン考えるの面倒だからって、

自分の名前をそのまま書いてるんです」

「ホントだ 笑」



「じゃあこれ、桜ちゃんに渡して作ってもらうよ」



「でもなんで本籍地を調べる必要があるの?」


「陽介氏、いなくなって11年経つけど、

どんな形であれ見つかれば、実家とかに連絡は行きますよね?」


「でもそうではなく『落合健治』として生きてた」


「免許持ってたり部屋借りたりしてるってことは、

『落合健治』で戸籍があるってことですよね」


「あ、そっか」


「普通の人は、簡単に自分の戸籍とか変えたりはできないからさ」

「多分、記憶がない状態で保護されたんだと思う」


「記憶喪失ってやつか」



「でも記憶喪失になったから、その先ずっと生活できないって、

そういうわけでもなくって」


「そういう人って仮の戸籍を作れるの」



「でもね、仮の戸籍でも本籍地って必要じゃない?」

「うん」


「だからそういう場合本籍は、入院してた精神病院って場合が多いの」


「へぇ~、希ちゃん色々知ってるんだね」


「いやあ、みんなで鍋つついてる間に調べたんです 笑」



「という事は、健治さんの本籍地に記載されてる住所に行って、

そこが病院だったら、ビンゴって事?」

「そういう事」


「でもさっき希、『仮の戸籍』って言ってたよね」


「多分杉下理紗は、それを利用して、

健治さんに『ふくしゅー』するつもりなんだと思う」


「自分の手で『落合健治』をぶっ壊すんだと思う」


「え…」





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