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「やっぱり…」






「あのぉ、すみません」   



「はい、何でしょう?」


「ここの病院って、いつ頃からあるんでしょうか」

「なになに!」

「あなた、刑事さんとか探偵さんとか何か?」


「いや

「でもそういう職業って大概男の人だものね 笑」


「え、ええ」


「この病院、最近建ったように見えるでしょ~」

「でもね、これってね…改装しただけなのよぉ 笑」

「院長が代替わりしちゃってね、息子が院長になった途端、

やれ改装だぁ経費削減だぁとか

…なんだか会社経営みたいになっちゃってねぇ」



「じゃあここの病院は、以前からあったんですね」


「もう4、50年は経ってるんじゃないかしら」

「ここだけの話ね、私がここで掃除のおばさんやっていられるのも

…私が前の院長の初恋の相手だったからなのよぉ!」


「そうなんですね^^」


「でもお話してる印象で素敵な方だなぁって感じていたので、

その話も納得できます^^」


「あらぁ~、そう?」


「今じゃこんなおばさんだけど、これでも昔は

…あなたには負けるけど 笑

結構わたし、モテてたのよぉ~!」



「私もお話しして、『米山さん』のこと、

好きになっちゃいました 笑」


「あら!やっぱりあなた刑事さんとかなにか?」

「よく私の名前分かったわねぇ~」


「胸元にそう書いてあったので^^」


「あ!そう言えば名札つけてたんだわ、私!」

「あらやだ、恥ずかしい 笑」


「名刺お渡ししておきますね、

私の方だけ名乗らないのも失礼ですし」

「はい、頂戴します^^」


「えっとぉ…片岡ぁ…」


「暢子です^^」

「これで『のぶこ』って読むのぉ!」

「『ようこ』さんって呼びそうになっちゃったわ!」


「よく間違えられます 笑」


「病院って守秘義務があるから、

患者さんの事ってやっぱりなかなか聞けないですよねぇ」


「そうねぇ」

「息子が院長になってから余計に厳しくなったからねぇ」

「さすがの私も口にチャック!なんだけどね 苦笑」


「…ちなみにそのぉ患者さんのお名前は?」


「今はもう入院も通院もしてないんですけど」

「『落合健治』っていう

「パク様!!」


「ぱ、ぱくさま?」


「韓流スターみたいなイケメンの人でしょ?

その『落合健治』さん」


「ああ!」

「それで『パク様』^^」


「はい、『その』落合健治さんです」


「今はパク様、元気でいらっしゃるの?」


「はい、今はピアノを弾いてて音楽活動を

「やっぱり!」


「『やっぱり』?」


「入院中もねパク様、『ピロピロピロ~ン♪』って

ピアノを素敵に弾くもんだから、み~んなパク様に

メロメロになっちゃってたのよぉ~」


「そうだったんですね 笑」


「ちなみに暢子さんは、パク様とはどういったお知り合い?」



「実は私、今、パク様と…お付き合いをしていて」

「あらま!そうだったのぉ~!」


「美男美女のカップルさんじゃない~!」


はは 恥」


「だからここにも来て…」


「ということは…ご結婚されるとか…」

「いえいえ!」


「まだそういった話ではないんですけど 恥」



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