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「うわ~、ノンカッチョいい~!!」
「「降参しました!」ってなるね、絶対!」
「そしたら女の子みたいに泣き出しちゃうから」
「よかったねノン♪」
「お疲れさま!」
「ううん、まだ」
「へ?」
「私は今日、健治さん…陽介さんを助けにきたの」
「うん」
「杉下理紗さんの人生を、壊しにきたわけじゃないの」
「・・・」
「いいじゃねぇかよぉあんなキショい女、放っておけよ」
「翔くん…」
「ん?」
「本気で殴るよ」
「ゔっ…す、すみません…」
「でもなんでノンがそこまでする必要あんの?」
「あの人が、陽介さんの『元カノ』だから」
「でも」
「ずっと不倫関係を続けてて、親友にまで手を出して…」
「それは許されないことだと私も思う」
「でも、親友に手を出したのは光一さんの奥さんに利用されただけで…
もしかしたら奥さんが行動には出ないで、陽介さんと一緒に過ごしてたら
理紗さん、光一さんとの不倫関係も解消したかもしれないし」
「…11年も行方不明になった恋人を捜してたんだよ?」
「陽介さんを救い出しても、その人の人生を壊す権利なんて私にはない」
「だからちゃんと立ち直って、自分の意志で過去から帰ってもらう」
「元の杉下理紗の人生に」
「・・・」
「…それに」
「同じ人を好きになったってことは、
どこか似たところもあるかもしれないし」
「また新しい友達ができるかもしれないじゃない?^^」
「え?」
「…もう意味わかんね」
「ノン、すごすぎ…」
「…そろそろ落ち着いてきた、かな」
「じゃあ、ちょっとまた行ってくるね」
カチャッ
パタン
「どうりで敵わないはずだよぉ」
「ホントに観音様じゃん…」
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