文楽「ひなたのじかん。」に関する一考察



文楽「ひなたのじかん。」

冒頭、朝食のシーンから始まりますが…

この段階で間取りそのものが、読み手の数だけ変化します


一軒家かもしれませんし、マンションかもしれません

どんなダイニングテーブルでどんな食器で出されてるか

細かい部分もまた、読み手の数だけ異なるでしょう




文楽(ぶんがく)と小説の決定的な違いは


舞台設定の構築の仕方


小説の場合、作者のイメージを読み手の脳内で構築するために

様々な情報をト書きで伝える

舞台設定は勿論、その時の心情だったり登場人物の外見だったり

多くの情報を与える事で主人公に憑依してもらうというか 笑


小説の醍醐味はまさにそこであり、

しかも未知の経験や知識を得られるというメリットまである



文楽の場合、話の筋は決まってはいますが

登場人物の外見や、家や町並みなどロケーションなど

多くのものを読み手側に委ねています


微妙な心情の変化ですら読み手に推察してもらうよう伏せてありますし

読み終えても何もメリットがないと、思うかもしれません 笑




なのでここで少しだけ考察のサンプルをご用意しようかなと 笑



冒頭、


「ごちそうさま。美味しかったよ、今日も^^」


から始まります



皆さん、ご自身の思春期の頃を思い出してみてください


『至って普通の』洋風な朝食が出された時、

「ごちそうさま」に感想を付け加え伝えた事があるでしょうか


恥ずかしながら僕は10代の頃は、朝に朝食が用意されてることは

当たり前のことだと思っておりました



母親の大変さは大人になって初めて気づくもので

…もしかしたら大人になってもまだ気付いてない人もいるかもしれません 苦笑


いずれにせよ、思春期の10代男子が朝食に感想を述べるなんて

そう滅多にある事ではございません


しかも「今日も」という事は何か下心があって…ってわけでもなく

素直に言葉にしたものだと考えられます



冒頭のシーンでこの事に気付くか気付かないかで

だいぶお話の質感が変化します



お父さんの

「その話はもう決まった事だ」



孝くんの

「水希さん、さすがに泣かなくなったね。」


などの台詞で

結構バタバタしてた時期があったんだなと

推察もできる…と思います 笑


それと


何故孝くんだけ句点の『。』を多用してるのか


と言った謎も

まだまだあちらこちらに潜んでおります 笑




現在連載中の『Love Stories。』は、ト書きが一切ないのに…

かなりのボリュームがあります 笑


NHKの朝ドラだと大体150くらいの話数ですが

な、なんと!200近く!あります 笑


朝ドラ以上のものが今後控えておりますで、ご覚悟を



そして「ひなたのじかん。」のように

あらゆる情報があらゆるところに潜んでおりますので、


上記のサンプルを参考に

水曜日からまたお読みくださればと思います😊


それではよい文楽ライフを^^

theSUNreason.

文字を楽しむ 『文楽(ぶんがく)』 日常をそのまま切り取る 『フォトグラファー』 日向理のホームページへようこそ。