「The Last of Us Part II」


*ネタバレを思いっきりしているのでプレイ済み、

もしくはプレイはしないって方だけお読みくだされば



Naughty DogはSony Interactive Entertainment(以後SIE)の子会社の

アメリカ・サンタモニカに拠点を置くゲーム開発スタジオ


両者の付き合いは長く、特に「アンチャーテッド」シリーズは

現在映画化の制作が進んでいるところ



この開発スタジオの子会社化・傘下契約はメリットが非常に大きい

それは納期をあまり気にせずに自分たちの愛するゲームを制作出来ること


日本の企業だと汗水流して働いたり・机の前で黙々と仕事をする事が

ある意味『美徳』とされているので、一見遊んでいるように見える

クリエティブな人材を激しく嫌う傾向にある


この社内紛争を避けるためにとったSIEの戦略は見事的中


様々な開発スタジオが子会社、ないしは傘下契約をしているので、

1本1本のスパンが短く、クォリティの高い作品を提供できている



まだSIEの社内の部署で開発をしていた上田文人さんも

genDESIGNを設立し、「人喰い大鷲のトリコ」を完成させ

海外からもとても高い評価を受けた作品


おそらく上田さんは次作をこだわって制作している最中だろう

上田文人も世界のゲームファンがRespectする日本人のひとり



そしてコナミのお家騒動の後、ゼロからスタートとなった、

小島秀夫さんを救ったのもSIE


そして小島秀夫さんは世界中のゲームに携わるヒトの憧れの人

世界のクロサワ並みにRespectされている


その助力もあり世界各地のSIE傘下の開発スタジオを訪問


「Horizon Zero Dawn」と、これまたとんでもないタイトルを産み出した

Guerrilla GamesがKOJIMAsa-nに対するRespectの気持ちを込め

自社のゲームエンジンを小島秀夫さんに提供


これによって小島さんはゼロからではなく環境が整った状態で

ゲーム開発が可能になり、「Death Stranding」という作品を世に出せた



ちなみに現在発売中の「Ghost of Tsushima」

開発元Sucker Punch ProductionsはKOJIMAsa-n来訪の際、

「Ghost of Tsushima」のゲームバランスがまだうまいこと調整できておらず・・


後のインタビューで、

「小島さん、あの時はごめんなさい・・・」と悔やみながら謝罪してる


このエピソードは本当に小島秀夫さんが海外で高く評価されていることが判るもの



けれども前述したように、日本人はクリエイティブな人材を嫌う傾向にあるので

「人喰いの大鷲トリコ」も「Death Stranding」も国内ではかなり評価が低い




そして表題でもある『The Last of Us Part II」は

当初2月21日に発売が予定されていたもの


けれどもNaughty Dogは5月29日に発売を延期

この延期は日本の企業では先ずあり得ないもの



その延期の理由は


プレス関連の方々を招いての体験会にて想像以上のいい反応があり、

反応が良かった部分基準でゲームを作ると大部分直す必要があり

2月の発売には間に合わないことが判明


未完成のまま予定通りリリースするよりも、コストがかかるのを承知の上で

クォリティを優先し、納得のいくレベルまで作品を作り込むと決断


納期最優先、ローリスクハイリターンを好む日本企業では、

先ず重役の皆さんが首を縦には振らないだろうし

重役の皆さんが頷かない限り、ゲームは未完成のまま発表される


もうこれまでいくつそんな、地雷のようなゲームに遭遇したことか…

しかもそれは発売日ギリギリまで全力で開発を、とか

素晴らしいクォリティを目指し、とか

アベノマスクさん並みに嘘をつくので余計に落胆が激しい



その後コロナ禍の影響で更にリリースを1ヶ月延期をするんだけど

この自主的な延期を決断をしたのが功を奏したのか

ちょっとあり得ないくらい完成度の高い作品となった


それも

「マフィア」リメイク、「Cyberpunk2077」ともに延期

「テイルズシリーズ」は無期限延期で発売日未定

多くの開発会社が危機感を抱くほど




そして映像作品の要でもあるスクリプト、

脚本がこれまた恐ろしいくらいによく練られている



前作「The Last of Us」で主人公がたくさんの命を殺めた


プロデューサーはその部分にフォーカスを当て、


主人公の犠牲となった人の遺族側の復讐心、

そして復讐を果たした後自らの行いを悔い、

他者に対し気遣う気持ちも芽生えた


…中で


前作の主人公を殺された、

今作の主人公が復讐心にかられ、その人の仲間を次々と殺してゆき

再び怒りが蘇り、両者は相対する事となる



しかも一度ではない

終わったかに見えた復讐の旅を続ける決心をし、主人公は再び旅に出る


結局、変わり果てた相手と相対するのだけれど、

最後の最後で自分の行いの無意味さに気付き、

その場で泣き崩れてしまう


そしてなにもかも失った主人公が、

誰もいない家の、2階の窓辺にギターを置き…そこでエンドロール



主観で物事を捉えている人にはこの脚本が全く受け入れられないものだろう


主人公が絶対的に正しく、やってくるものはみんな敵と見做している人には

Other’s sideの描写は苦痛でしかなく


操作キャラを変えわざわざ崖から飛び降りさせ

「ざまあみろ!!」と言ってる動画がYouTubeに結構な数ある


しかもそのOther’s sideを主人公と同じくらいプレイさせられるんだから、

もうその人たちにとっては拷問でしかない



けれどこのOther’s sideも丁寧に描写した脚本は僕はとても高く評価している

文楽という執筆を始めたってのもあって余計に、構築美を感じられた




かつてこのように丁寧に同じ分量、双方を描いた作品はあっただろうか


よくあるパターンは、散々悪いことしまくったのに、改心した途端仲間になるってやつ


ドラゴンボールのピッコロも、ベジータも元々かなりの悪党でかなりの命を奪ってきた

けれど孫悟空とダチになった瞬間、いい人キャラに変わる


散々悪事を働いてきたけど、それが実は誰かのためだったり、

自己犠牲で世の中をよくするためだったり、実はいいやつエンド

…ってパターンも映画やゲームにはよくある



僕はそれらを見ると、

「いやいや(; ・`д・´)、じゃあ亡くなった方や遺族はガン無視なの!?」

って思うし


アベンジャーズなんかは世界を救うのに、

視覚効果狙いなのか、結構派手にビルとか崩壊させているのを見ると

「いやいや(; ・`д・´) あの9.11の時のような、同様の悲劇が起こってんじゃね?」

って思ったりもする


そしてそういうツッコミに対し、よく使われる返答は

「あくまでゲーム(映画)だから」というジョーカー並みのもの

もう、それ言っちゃあおしまいでしょ〜って思うんだけど 苦笑


けれど『The Last of Us Part II』

そういったツッコミを入れたくなる場所も殆どないし、

何よりも隅から隅まで、チョー丁寧に作られている


ゲームの冒頭、主人公の部屋から始まるんだけど…その作り込みが半端ない


1作目を遊んだことのある人にはニヤッて思うものもあったり、

生活感溢れる感じがとてもよく出ているし、

何気に初期のPlayStation3が置いてあったり


何より…バスルームの鏡に自分の姿が映るってのが凄い

大概のゲームで鏡はチョー曇っててなにも見えないんだけど


しかもこの主人公の部屋は冒頭部分しか出てこない



日本のゲームだったらコピペしまくるか、そこを拠点にするかで手抜きをするんだけど

殆ど1度しか訪れない場所の作り込みが兎に角半端ない


そして日本では小島秀夫さんのスタジオ以外は採用していない

超コストがかかる、モーションキャプチャー・フェイシャルキャプチャーで

俳優さんに実際に演じてもらったものをデータ化している


なので、

微妙の表情の変化など、何度見てもすげー…としか言えない仕上がりばかりで

同じシーンをもう何度見たことか! 笑


日本のゲームでも有名人の顔を使ったりしているものもあるけれど、

それはあくまで顔のデータをスキャンしただけ


それを使ってプログラマーが表情を『制作』しているので

表情によるニュアンスの違いなんぞは皆無なものばかり



11月か12月には次世代機PS5が発売されるでしょう


けれど理さんの個人的な予想では…


多くの会社が据え置き型から撤退するでしょう


PlayStation4の現段階で、あれだけ底上げされちゃあ、

高額の開発費を捻出できない日本のゲーム企業は、開発を外注するか

スマホアプリにどんどん移行してゆくか、どちらかでしょう


バイオハザードの新作も先日、PS5むけに発表されましたが…

相変わらずモーションやフェイシャルは

プログラマーお手製なので、全然次世代っぽくないし


フロムソフトウェア到っては、まさかの過去作の焼き直し・・



これから先もフロムソフトウェアは「死にゲー」しか作らないんだろうなぁなんて

ちょっと残念な気持ちも

(キングスフィールドの頃は面白く感じたけど…あん時僕は19歳だったから 笑)


スクエアエニックスは「FFVII Remake」、「Avengers」と大コケをしたので

会社的にもPS5向けには開発はしないって株主総会で明言してるし、


リリースしてもPS4のアップグレード的な扱いで開発をするんじゃないかと




このゲームはZ指定という、18歳以上のみ対象というレーティングの作品


なので心もちゃんとそれなりに、成熟してる人はかなーりハマるかと


今「なんじゃこりゃ!?」って感じた人がいたとしても

何年か経ってプレイしてみると…大分印象が変わるかと


要は大人になって出直してこーい!ってやつですね 笑


theSUNreason.

文字を楽しむ 『文楽(ぶんがく)』 日常をそのまま切り取る 『フォトグラファー』 日向理のホームページへようこそ。