Episode.20



「うおー!!すげー!なんかドラマみたいじゃん!」

「やるやる!!」


「なんでこの夫婦、こんなやる気満々なんだ!? 笑」



「だってこのまま何もしなかったら、お鍋食べに来ただけになっちゃうし」

「俺ら、ノンへの恩、ちゃんと返せてるかなぁって、

食器洗いながら2人で話してたところだったし」


「しかも尾行だろー?さすが緑川、

ちゃんと俺らの出番を用意してくれるなんて、まぢ感謝!」


「ドライブだったら、横浜とか夜景がキレイかもね~♪」

「りささん、横浜チョイスしてくれないかなぁ~」


「しないだろ~」

「夜の横浜なんて、しょっちゅうカップルだらけなんだから」

「あ、そっか」



「私、ここにいるみんなの連絡先知ってるから、

それでグループ作ってチャットできるようにするよ」


「お!じゃあそれで作戦指示とかくんだな!」


「それに近くに2人が車で待機してくれてると、

イレギュラーが起こった時、陽介氏を助けられると思うんだ」


「おぉ!「身柄確保ーー!」って感じな!」


「…別にそれは言う必要ないし、警察じゃないし 笑」


「私もなんか高校生に戻った気分 笑」




「でもまた本当に記憶を失くしちゃったらどうするの?」


「(ΦωΦ)フフフ…」


「そこも考えてあるんだ!」

「…でも超悪い顔してる 笑」


「そこで仁美さんの出番なんです」


「私?


…ってまさか」


「その『まさか』です^^」



「なんだよぉ、全然話が見えねえぞ」



「仁美さんに『ボール』になってもらうの」

「『ボール』?」


「あ!『ジョン』か!」


「『じょん』?」

「もう全然わかんね~」


「『ジョン化』してる時って陽介氏、記憶がないって言ってましたよね」


「うん、言ってた」


「それなら陽介氏の頃の記憶がない今は、

仁美さんと初遭遇って認識になるだろうから」


「『ジョン化』すると思うんです」



「そしたらその頃の、いいほうの思い出から、

少しずつ思い出しそうな気がするんです」




「…ウチらすっかり置いてきぼり食らってんぞ」



「あのね、仁美さんの容姿がね、

陽介氏の好きなタイプの、ど真ん中のどストライクなの」



「大学1年の時、仁美さんを見かけた陽介氏は、我を忘れて

仁美さんを追いかけて、仁美さんの腕をつかんで離さなかったの」


「そん時の陽介氏、あまりにも追いかけるのに夢中で、記憶が飛んじゃってるの」


「え!?」

「変態やん、それ!?Σ( ̄。 ̄ノ)ノ」



「でも人に危害を加える変態じゃなくって、

よーすけは『いい変態』なの」


「『いい変態』って初めて聞いた 笑」



「飛んじゃった記憶って、どうやって戻してたんですか?」


「「ジョン!ハウス!」って俺が呼んで、

「よーしよしよし」って褒めると元に戻ってた」

「犬かよ!!Σ(´∀`;)」




「他にやり方はあるのかもしれないけれど」


「いなくなる前の辛い記憶は、『いい記憶』でいっぱいにしてからじゃないと


…ずっと陽介氏、戻ってこれない気がするし」」



「どうせ杉下理紗とやり合うなら、完全勝利したいじゃん」




「それに…ジョン化した陽介氏見たいし」


「結局は、希ちゃんはそれでしょ 笑」

「へへ、バレました? 笑」





「…ふぅ」


「ひと通りは話はできた感じ、かな」



「と言うわけで、今日はお開きにしましょう」


「お?もう終わりかい?」


「マスター、長い時間ありがとうございました」


「いいんだよ、気にしなくって」

「またいつでもここ、作戦会議に使っていいから」


「マスター、ありがとう!」



「ここの会計とかは…」


「あ、それはうちの旦那と希が払うんで大丈夫です」

「あ!!そうだった…」


「鍋とか俺が勝手に用意したやつはいいから」


「自分らで頼んだやつだけで大丈夫だよ」

「あざーす!」



「チャットのグループ作っとくから、

それぞれの進捗状況はそこでってことで」


「わかった」


「マスター!」

「会計の半分、ツケといて!」


「はいよ」



「よし!じゃあ帰ろ!」




カラコロ~♪



「お鍋、ご馳走さまでした^^」



「はいよ」

「ありがとうございました」


「はいよ」

「はぁ…俺の小遣いがぁ…」

「マスター、また来ますね^^」


「またおいで」


「マスター、ありがとうございました」


「のんちゃん、あまり無理しすぎないようにな」

「うまくいくよ、きっと」



「はい、ありがとうございます^^」

「ご馳走さまでした」




カラコロ~♪







「…サイン、もらっときゃあよかったかな」



theSUNreason.

文字を楽しむ 『文楽(ぶんがく)』 日常をそのまま切り取る 『フォトグラファー』 日向理のホームページへようこそ。