5−5



「あ!沙織からだ!」


「なんだって?」


「げっ!?」


「どした?」


「拓也、急いで高速乗って!」

「高速!?」


「横浜方面向かって走ってるって」


「高速って…」

「どこ行く気なんだろ」


「仁美さんの読み通り、本州大行ったんだって」


「じゃあ、それでもダメだったって事か…」


「ねぇ、ノン」

「どっか心当たりはある?」



「もしかしたらジャケットの場所かも…」

「そっか!」

「写真、健治さんが撮ってる事、

ファンにバレちゃったって沙織言ってたもんね



「私もMikaのアルバム聴いてるけど…

横浜方面だとするとぉ海岸とか?」


「でも鎌倉とか湘南とかだと、車内でも目立つよね」



「あ」


「分かったかも」


「どこどこどこ!?」


「砂丘」

「砂丘!?」

「砂丘!?」


「鳥取まで行くのか!?」


「いいえ、静岡にもあるんです」



「あ!あの砂漠みたいなジャケット、

…あれ静岡なんだ!!」


「案外、死角になるようなところもあったから」


「じゃあ車中じゃなく、砂丘で実行する可能性もあるね!」


「だって!」
「拓也、静岡静岡!」


「もう高速の入り口目指してる!」


「静岡行くなら…」

「え?」

「美味しい緑茶、買おうかな」


「なんで当事者がここまで落ち着いてられんの!?」


「肝据わり過ぎでしょ!?」


「いや、ノンってテンパリ過ぎちゃうと、

不思議ちゃんになっちゃうの!」


「Σ(`Д´ )マヂデスカ!?」

「じゃあ静岡もテンパって言ってるんじゃね?」


「いや、拓也さん」

「それは違います」


「は!?」


「静岡は『しずおか』じゃなく『しぞーか』って言うんです」


「ヤバい!ちょっとおもろい 笑」


「仁美さん、面白がっちゃダメです!」
「そうするとさらに不思議度が上がっちゃうんで!」


「『ふしぎど』って苗字の人…いそう」

「いそう 爆笑」


「ヤバい!これ、仁美さんの好きな感じだ!」


「とにかく拓也は運転に集中!」

「2人はもう放置!」


「オッケー!」


ティンコーン♪


この先暫く道なりです。

「うっせ!」

「うっさい!」



theSUNreason.

文字を楽しむ 『文楽(ぶんがく)』 日常をそのまま切り取る 『フォトグラファー』 日向理のホームページへようこそ。