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「あ!沙織からきた!」


「なんだって?」


「サービスエリア入ったけど、またすぐ発車して、

ちょっとスピード上げてるってさ」


「どこのサービスエリアだか聞いてくれる?」



「ちょっと待って」




「…『富士川』だって」


「おし!」


「結構向こうがノロノロ運転してくれたおかげで、

砂丘着くまでには追いつけそうだわ」


「やったじゃん!」


「でもよく砂丘ってわかったね、ノン」


「ってかもうフツーのモードだよな…」



「杉下さんがものすごく執念深い人だったら、

健治さんをぶっ壊すのもただぶっ壊すんじゃなくって、

健治さんの記憶が鮮明にまだ残ってる場所で壊すと思うんだ」


「ここでの思い出が、仮の戸籍と一緒に消えてなくなるっていう、

より確実にぶっ壊すための演出というか…」



「『落合健治の存在を消す』って、

『落合健治を殺す』のと同じだからね」


「そこまでなるなんて、私には信じらんない」



「とんかつ屋さんも本州大も」

「チャンスを与えたんだと思うの」


「存在を消す前に」



「それでも思い出さなかったから、砂丘に一直線って感じなんだな」


「自分の気持ちだけで相手をぶっ壊すなんて」


「絶対許せない」



「そうだな」


「健治さんと陽介、

2人とも助けようぜ、俺たちで」


「うん」






「あのさ、全然関係ないんだけどさ…」



「なんですか?」



「前の2人、ヨリ戻せば?」


「え!?」

「は!?」

「仁美さん、なに言ってんですか!突然」


「だって付き合ってた頃より、

仲良く見えるんだもん、後ろから見てると」


「希、良かったね!」

「いい人見つかって^^」


「希、別れたてのホヤホヤで1人ぼっちなんです」


「バラすなー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」


「ぼっち言うなー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」


「B組は、今付き合ってる人とかは?」


「俺っすか!?」


「付き合ってる人はいなくって」


「好きな人は…いたんですけど…

全然脈なしだったんで、諦めちゃいました」


「ほら~!希ちゃん!」


「ほらー!ってなんですか!」

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