5−8
「あ!沙織からきた!」
「なんだって?」
「サービスエリア入ったけど、またすぐ発車して、
ちょっとスピード上げてるってさ」
「どこのサービスエリアだか聞いてくれる?」
「ちょっと待って」
「…『富士川』だって」
「おし!」
「結構向こうがノロノロ運転してくれたおかげで、
砂丘着くまでには追いつけそうだわ」
「やったじゃん!」
「でもよく砂丘ってわかったね、ノン」
「ってかもうフツーのモードだよな…」
「杉下さんがものすごく執念深い人だったら、
健治さんをぶっ壊すのもただぶっ壊すんじゃなくって、
健治さんの記憶が鮮明にまだ残ってる場所で壊すと思うんだ」
「ここでの思い出が、仮の戸籍と一緒に消えてなくなるっていう、
より確実にぶっ壊すための演出というか…」
「『落合健治の存在を消す』って、
『落合健治を殺す』のと同じだからね」
「そこまでなるなんて、私には信じらんない」
「とんかつ屋さんも本州大も」
「チャンスを与えたんだと思うの」
「存在を消す前に」
「それでも思い出さなかったから、砂丘に一直線って感じなんだな」
「自分の気持ちだけで相手をぶっ壊すなんて」
「絶対許せない」
「そうだな」
「健治さんと陽介、
2人とも助けようぜ、俺たちで」
「うん」
「あのさ、全然関係ないんだけどさ…」
「なんですか?」
「前の2人、ヨリ戻せば?」
「え!?」
「は!?」
「仁美さん、なに言ってんですか!突然」
「だって付き合ってた頃より、
仲良く見えるんだもん、後ろから見てると」
「希、良かったね!」
「いい人見つかって^^」
「希、別れたてのホヤホヤで1人ぼっちなんです」
「バラすなー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」
「B組は、今付き合ってる人とかは?」
「俺っすか!?」
「付き合ってる人はいなくって」
「好きな人は…いたんですけど…
全然脈なしだったんで、諦めちゃいました」
「ほら~!希ちゃん!」
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