5−23
「り、理紗…」
「やっと下の名前で呼んでくれたぁ」
「ずっと苗字で呼んで、ずっと敬語で」
「超余所余所しかった 笑」
「おかえりなさい、陽介さん ^^」
「ようすけ、さん…」
「なにぃ?まだ迷子のままなのぉ?」
「はい、これ」
「ここに書いてあるでしょ?『岡崎陽介』って」
「でここにいっちゃんさん、あなたのお母さんの名前が書いてあるでしょ?」
「『岡崎一子』って」
「いっちゃんさんも、ずっとあなたの事、捜してたんだよ?」
「薄情な人たちは、どんどんあなたを忘れてったけど」
「いっちゃんさんと2人でビラ配ったり、警察に再捜索するよう催促したり…」
「11年間、ずっと諦めずにあなたを捜してたんだよ」
「でも暢子さんが…」
「のぶこぉ?それがその『大切なひと』の名前?」
「『のぶこ』って…いつの時代に生まれたんだか 嘲笑」
「でも僕は暢子さんのことを本当に
「あなたを一番愛してるのは私なの!」
「!?」
「なに浮気相手に本気になってんのよ!?」
「なんで私のこと全部忘れてんのよ!?」
「何回チャンスをあげたと思ってるの!?」
「『大学来たの初めて』!?」
「なに寝惚けたこと吐かしてんのよ!!」
「治氏や拓也さんや光一さんのことも、
ぜーんぶ忘れちゃったの!?」
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