エピソード25



「スゥーーー……ふうぅ」



「なんか空を眺めるって久しぶりかも」


「青い空に白い雲…」





「ん?」



「あの辺はそんなに青くないんだね」



「…そんなに青くない空の時はなんて言うんだろ」




「うわぁ~!そんなに青くない空だぁ~!」


「んー…違うなぁ」


     ガチャ、ギィィィィィ…


「うわぁ~綺麗!青っぽい空ぁ~!」

「これも違うか…」



     バタン



   「はい、智子ちゃん!」


「ん?」


ひょいっ

「え!?」





がしっ

「ナイスキャーッチ!」




「えっと…」



「…炭酸じゃないよね、これ」


「開けたら判るよ、きっと」


「えーー」




「…って」


「『炭酸飲料水』って書いてあるんだけど…」


「あ」


「投げるほう間違えちゃった 笑」


「「間違えちゃった」じゃないよぉ~」



「結構パンパンだよ?これ」



「んじゃ、缶の色んなとこデコピンしてみてよ」



「なんで?」

「いいからいいから」




カッ カッ

「デッ」


カッ カッ カッ

「コッ」


カッ!

「ピーーン!」



「やったよ?」


「もう開けても大丈夫だよ、それ」



「えーー!」
「ホントに!?」



「大丈夫大丈夫、ジャージ今日持ってきてるし」


「そっちの大丈夫!?」


「冗談冗談 笑」

「ホントに大丈夫だから 開けてみ」




「スゥーーー……ふうぅ」






シュコッ



「ホントだーー!すごーーい!」


「かなたくんはマジシャンか何かですか?」

「はは 笑 」


「スプーンは曲げられないよ」

「あれってなんでスプーンなんだろうね、他のでもいいのに」

「なんでだろうね」



「夕ご飯がカレーの日にね、弟がウチ中のスプーン曲げちゃって」

「すごい、超能力者の姉なんだ」

「ううん、全部チカラで無理矢理 笑」


「すごいね弟くんも 笑 全部のスプーン曲げちゃうなんて」

「それでね、お母さんにすっごく叱られて」

「その横でお父さんがひとぉつひとつ元に戻して 笑」

「はは 笑」




「でもああいうのって、一度曲げたら完全には元に戻んないじゃない?」

「うん」

「だから、『微妙に曲がってるスプーン』でみんなでカレー食べて 笑」

「それから夕ご飯がカレーの度に、お母さんから

「曲げないのよ!」って…今でも注意されてる 笑」


「あはは 笑」 「ふふ 笑」




「でもよかった^^」

「ん?」



「智子ちゃんに笑顔が戻ってきて」

「あ…」



「ひとの気持ちってね、連鎖するんだよ」


「嬉しいや楽しいとか…あと優しさとか」

「そういうあったか~い気持ちが連鎖すると、笑顔が生まれるんだ」

「…うん」


「笑顔も連鎖するんだよ?」

「智子ちゃんの笑顔を見て僕も笑顔になったし」


「お父さんもお母さんも弟くんも、その笑顔の連鎖を待ってると思うよ^^」



「…そうかもね」

「弟は結構勘がいいから」


「私を気遣ってくれてたりしてるし」




「『笑顔の連鎖』かぁ」


「そっ 『笑顔の連鎖』^^」


「ふふ 、ホントだ^^」






「…ねぇ、かなたくん」

「ん?なに?」



「『今だけ』の知り合いじゃなくって…」


「卒業しても知り合いでいたいなぁ…なんて 笑」




「卒業したら引っ越すんだ」


「結構遠くに」



「…そなんだ」


「僕に会ったら、ここで吐き出したもの思い出しちゃうでしょ?」






「…うん」



「それに・・」



「それに?」




「折角『だーいすきな先輩』と付き合ってんだから、

変な噂にでもなったら大変だよ ^^」


「ちょっ、かなたくん何で知ってるの!?」



「ミラクルが起きたーー!!」って女子の間で話題だよ^^ 」



「…なんか恥ずかしい 恥」


「それに『幸せ』は、心の傷を癒す、一番の特効薬だからね」



「…『心の特効薬』」


「そっ 『心の特効薬』^^」





「かなたくんって色々物知りなんだね」

「そうかなぁ」


「『笑顔の連鎖』とか『心の特効薬』とか…缶にデコピンとか 笑」


「同じ学年なのに、なんだかすごーくおにーちゃんに感じる」


「じゃあ『お兄ちゃん』って呼んでもいいよ 笑」



「ううん、呼んじゃうとまた知り合いでいたくなっちゃうから 笑」


「そだね」





「もしかしたら」

「ん?」



「もしかしたら、『心の特効薬』が効いて、心からの笑顔も取り戻せて」

「忘れかけた頃に、また会えるかもしれないよ」



「スゥーー…ふうぅ」



「また『笑顔の連鎖』、できるといいね^^」

ガタガタッ

ギギギギィー


「そだね^^」

       がやがや

「あ、終わったみたい」

「はい、並んで出る!並んで!進んで!」

                    がやがや

「結局サボっちゃったね 笑」

              ガタガタッ

「だね 笑」 

ギギギギィー


「もしかしたら私、人生で初かも…サボったの 笑」


「そなんだ 笑」 「ふふ^^」



「じゃ僕、先行くね^^」



「…うん」

     ガチャ、ギィィィィィ…



「かなたくん!」




     「ん?」



「ありがとう!」





     「うん^^」




     バタンッ!!






ありがとう





「やっと戻ってきた~!」

「「イス2つとも私が運ぶの!?」って思っちゃってたよぉ~」

「未希ごめ~ん!」

「もうみんな戻っちゃった…って」


「…あれ?」


「智子なんか気持ちニコニコしてない?」

「そう?」


じーーっ


「なに? 笑」

        

「わかったー!!」

「カズ先輩に電話してたんでしょー!」


「どうでしょうねぇ~^^」



「やっぱりそうかぁ~ もうそんなにLOVELOVEなんだぁ」

「さすが帰国子女! 笑」


 「いいないいなぁ 私もそんなふうににまにました顔したーい!」

 「未希にも見つかるよ^^」


   「なにその余裕あります感満載な感じは~」

   「私、未希よりお姉ちゃんだもん^^」

     「たった1ヶ月だけでしょ~ 笑」


      「ほら、未希の椅子も運んであげるから^^」

        「あ!今のはわざと『お姉ちゃん感』を出したでしょ 笑」」


           「うふふ ^^」

           「あ!またにまにま顔になってる~」
             「ず~る~い~」


               「ホームルーム始まっちゃうから…」

                  「走るよ!」

「えー!イス持って~!?」

「よーぃ」

「しかも競走!?」

                「ドンッ!」

                「自分のtimingで「ドン」言うのずる~い!」

さすが『帰国子女』~! 笑」   

                               「待ってよぉ~!」

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