エピソード35
「ふわぁぁ・・っはぁぁ」
「…ねみ‥」
ブルルル
「また徹夜したんだろ」
「…徹夜はしてねーよ‥1時間は寝たし」
毎度ご乗車ありがとうございます。
このバスは朱鳥大前経由花霞駅ゆきでございます。
次は慶運坂、慶運坂でございます。
お降りのお客様はお近くの降車ボタンにてお知らせください。
お降りの際は危険ですので、
バスが停車してからお立ちくださるようお願い致します。
「それもうほぼ徹夜だろ 笑」
「別にまさに迷惑かけてないからいいだろ」
♪~
「まぁ、な 笑」
『…はい、次停まります。』
「朋子ぉ」
「ん?」
「いくらアレでも気合い入れ過ぎじゃない?」
ブルルル
「だって片瀬君の隣をゲットできるチャンスだよ!」
「飽きずにまた格ゲーか?」
「なかなかないでしょ!」
「そうだけどさぁ」
「うんにゃ」
「でも今相当倍率高いでしょ」
「司法試験より狭き門かも? 笑」
「いつもオンでやってるひとが最近全然いなくって」
「えー応援してよぉ」
「だからオフでグレイスの復習してた」
「…グレイスってそんなに面白いの?」
ブルルル
「え!?」
「『あの』爆発的に大ヒットをした、
『あの』不朽の名作をまだ遊んでらっしゃらない方に
まさかこんなカタチでお目にかかるとは思いませんでしたぞ」
「別にフントに迷惑かけてないからいいだろ」
「いやいや、まさくん! それは最早『非国民』に値しますぞ!」
「なんじゃそりゃ 笑」
ブルルル
「なんかさぁ、目撃証言だと
「いやー!」って叫んでたんだってさ」
「『美女の叫び』かぁ…」
『…慶雲坂ぁ、慶雲坂です』
プーーッ
「…お前、何ニヤニヤしてんだよ」
プシュー ガ、ガタンッ
ピッ
「…あ゛?」
「別にエロい事なんぞ考えてないぞ」
ピッ
「自分から白状してんやんの 笑」
ピッ
「き、汚いぞ、お主!」
「お主て 笑」
『…ご乗車の方いらっしゃいますかぁ』
プーーッ
プシュー ガ、ガタンッ
ブルブルルー
「…やっぱあの話してんの多いな」
「そりゃそうでしょ、複数目撃者アリだったんだから」
毎度ご乗車ありがとうございます。
このバスは朱鳥大前経由花霞駅ゆきでございます。
次は大宝、大宝でございます。
お降りのお客様はお近くの降車ボタンにてお知らせください。
ブルルル
「二人学校くんのかなぁ?」
「乗ってるやつらの眼を見てみろ、フント」
「野次馬魂がメラメラと燃え上がってるのが見えるぞ 笑」
ブルルル
「修羅場った直後の美男美女なんて、滅多に見れないからなぁ」
「…ある意味二人のファンにはチャンス到来だしね」
「フントはいくんだろ?」
「いかないよ!」
「?なんでさ」
「肩がぶつかっただけで、数日間
心を奪ってしまわれるおかたですぞ!」
「爆笑」
「『顔がぁ…声がぁ…』ってずっと言ってたもんな、お前 笑」
「崇め奉るだけで充分…」
「それはそれで怖いだろ 笑」
毎度ご乗車ありがとうございます。
このバスは朱鳥大前経♪~霞駅ゆきでございます。
次は朱鳥大前、朱鳥大前でございます。
お降りのお客様は
カチッ
「あ、負けた 笑」
『…はい、次停まります。』
「てか押すの早過ぎんだろ 笑」
ブルルル
ブルルル
『…朱鳥大前、朱鳥大前です』
プーーッ
プシュー ガ、ガタンッ
ピッ
ピッ
ピーッ
『…あっ、もう一度タッチして』
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
「んふふ…」
「早織ぃ、不審者の顔になってるよ 笑」
「だって『片瀬爆弾』食らった栞見れんだよ!」
「…どうしよ、笑いこらえられっかなぁ 笑」
「ん?」
「ん?」
「なんか私が聞いたのと違うかも」
「え?」
「「傷心の片瀬くんが私の元に帰ってくるー!」って」
「‥片瀬マニアが狂喜乱舞してたって聞いたよ」
「うっそ!?マヂで!?」
「うん」
「うわっ、それ今聞いといてよかったぁ…」
「どっちがホントなんだろ」
「どっちだろうね…」
「…でも『真逆の噂が流れてる』って事は
確実にどっちかがホントなんだよね」
「…真由美って時々冴えるよね」
「『時々』って何 笑」
「…栞、片瀬くんのことお財布代わりって言ってたし」
「あとナルシには興味ないって言ってたし…」
「…『犯人確定』かぁ」
「中身はブ男だったか…ダッサ 笑」
「…でも中身がイケメンなんて『ほぼ絶滅危惧種』だから、
結局片瀬ファンたちの心は揺るがないんだろうね」
「真由美ホント冴えてるね、今日は珍しく」
「だから『珍しく』が余計 笑」
「あ、栞あそこにいるよ」
「あ、ホントだ」
「早織、いこうよ」
「ちょっと待って」
「ん゛ん゛…」
「うん、大丈夫」
「栞、おはよ!」
「おはよー!^^」
「おはよ」
「なんか最近さぁ…」
「うん」
「面白いドラマ減った気しない?」
「え!?」
「ん?そんな驚くこと?」
「い、いや、なんでもない・・」
「去年の何森遥架のやつは超ハマったけど…、
そっからあんまパッとしなくなったっていうか」
「あれ栞、超ハマってたもんね!」
「私もだけど 笑」
「確かに…」
「『棒読み女優』も増えたし」
じーっ
「…な、なに?」
「さすが早織!」
「え?」
「まさにそれ!」
「私もおんなじ事思ってたんだよねぇ」
「あと「って言うかあなた誰?」って感じで、
いつの間にかいるひととか 笑」
「…確かにいるねぇ 笑」
「でしょ!」
「あれって事務所とかから『使ってください』って…」
「断れないお願いでもされてんじゃないの?」
「あと親のコネとかね 笑」
「番宣でバラエティ出てる俳優さんとか見ると、
「仕事の内容って、あのクラスでも選べないんだぁ」って」
「ちょっと悲しくなる 笑」
「私はイケメン俳優の普段な感じが見れて好きだなぁ」
「でも『俳優』だよぉ?」
「そこも演じれんじゃない?」
「あ、そっか」
「だからわたし結構、何森遥架のことそんけーしてんだよね」
「映画出たりゲームのヒロインやったり…」
「あれって絶対、『干されても平気』ってスタンスで女優やってるでしょ」
「そういえば、『バラエティ出てる何森遥架』って見た事ないね」
「わたし『きみあす。』で超泣いた~ 」
「真由美あれ観に行ったんだぁ!」
「いいなぁ~」
「超よかったよ!栞の絶対好きな感じ! 」
「ホント!!」
「次の日曜行こっかな…」
「早織、一緒に行かない?」
「えっ、いいけど…」
「けど?」
「今日の栞、いつになくハイテンションじゃん」
「なんかいいことでもあった? 」
「さぁてどうでしょう~^^」
「その返しは絶対なんかあったパターンじゃん!」
「気になる気になるぅ~ 」
「どうしよっかなぁ~^^」
「それって聞いて聞いてのパターンじゃん! 笑」
「教えて教えてぇ~ ♪」
「しょうがないなぁ~^^」
「あのね…」
「うんうん」「うんうん」
「誕生日パーティーに招待されたんだぁ^^」
「またハワイ!?」「今度は誰!?」
「あは 笑」
「二人とも超おもろい 笑」
「招待状、二人に見せてあげてもいいよ♪」
「見たい見たい!」「見たい見たい!」
「ちょっと待ってね」
ガサゴソ…
「はい、これ」
おたんじょーびかい しょーたいじょう
藤森さなえ
日時:5月6日(日)15時から
場所:藤代市霞ヶ丘3-1-14兵藤ビル2階 (株)シダル
プレゼントごふよー
「藤森さなえ…」「藤森さなえ…」
「今日は二人、よくハモるね 笑」
「子供…」
「うん」
「それも女の子のお誕生会だよ!エモくない?」
「ああそうだ!コンビニ寄るんだった!」
「真由美も寄るって言ってたでしょ!」
「え、私は別に…」
「栞なんか欲しいものある?買ってきてあげるよ」
「ホント!」
「んじゃあね…
炭酸水おねが~い」
「炭酸水ね! すぐ戻るからちょっと待っててね!」
「ほら、真由美!」
「あっ…はーい」
「いてらー」
スーーーッ
ティロリロ♪ティロリロ♪ …
「いらさませ~」
「買うもんなんてあったっけ」
「なんか変だと思わない?」
「♪~」
「変って…栞のこと?」
「他にいないでしょ!」
「片瀬くんの事なんてなかった事みたいだったし」
「栞らしいんじゃない?」
「そうじゃなくて!」
「ほら、あれ」
おたんじょーびかい しょーたいじょう
藤森さなえ
日時:5月6日(日)15時から
場所:藤代市霞ヶ丘3-1-14兵藤ビル2階 (株)シダル
プレゼントごふよー
「んふふ^^」
「あれがどうしたの?」
「修羅場ってた女が、子供から
招待状もらってニヤけてんだよ」
「!?」
「まさか不倫とか!?」
「♪~♪」
「でも招待されたって事は、
奥さんもそこにいるんでしょ?」
「そんな大胆なこと…」
「やれないって言い切れないでしょ」
「…確かに」
「でもいいなぁ」
「妻子持ちのイケメン…」
「へ?」
「…優しくて包容力半端なさそう♪」
「…はぁ」
「なんか一人で騒いでるのも、
バカらしく思えてきた」
「栞待たせてるんだから、
早く行こうよ」
「…買ってから行くから、先栞んとこ行ってて」
「私ジャスミン茶ね!」
「はいはい」
「ありがたっくした~」
ティロリロ♪ティロリロ♪…
スーーーッ
「栞ぃ~」
「ん?」
「早織のおごりだって~♪」
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