エピソード40
ガ‥カチャッ
キィ~
「ただいまぁ」
バタンッ
「あ!さくちゃんおかえり~!」
「ごはん、おかずは出来てるんだけど…」
「炊飯器のスイッチ入れ忘れちゃって 苦笑」
「ご飯炊けるまで待ってて!」
「うん、分かった」
「ごめんねぇ」
キュイッ
ジャー
パシャバシャ
キュッ
がらがらがらがらぁ…
「いつまで経ってもピーって鳴らなくって」
「さっき見て気づいて…お母さんったらドジよねぇ 笑」
「研いだ後、しばらく置いておいたほうが
美味しく炊けるって、なんかで読んだよ」
「あら、本当!!」
「『棚からぼた餅』ってやつね!」
「んーちょっと違うかも」
「んじゃあ…『失敗は成功のもと』?」
「それもちょっと違うかな」
「『怪我の功名』、かな多分」
「さくちゃん物知りよねぇ」
「棚からぼた餅が落ちてきたら拾えるかしらぁ」
「母さんなら『口でパクッ!』っていけるんじゃない?」
「気持ちではいけそうだけど、身体がついていかないわよ 笑」
「笑」
「ねぇ、母さん」
「ん?」
「『藤森さなえ』ちゃんって知ってる?」
「ウチの会社で働いてるひとの娘さんだけど?」
「さくちゃん、さなえちゃんの事知ってるの?」
「だから母さんの会社の住所が書いてあったのかぁ」
「ん?」
「これ」
おたんじょーびかい しょーたいじょう
藤森さなえ
日時:5月6日(日)15時から
場所:藤代市霞ヶ丘3-1-14兵藤ビル2階 (株)シダル
プレゼントごふよー
「さくちゃんも貰ったの!?これ」
「うん、お店の常連さんから貰ったの」
「前に『できちゃった婚』で辞めちゃったひとの話、お母さんしたでしょ」
「「パソコン使える人がいなくなっちゃった~」って話だよね」
「そうそう!」
「それでウチが出した募集を見て、来てくれたひとなんだけどね」
「『宝くじ』のひとね 笑」
「そうそう!そのひと!笑」
「藤森さんのところも、さなえちゃんと『母一人娘一人』って聞いてね」
「なんだか他人事とは思えなくって」
「藤森さんの仕事が終わるまで、
一人ぼっちにさせるのもなんだかあれでしょ?」
「だから「学校終わったら会社に来て待ってても大丈夫よ~」って話して」
「ふふ^^」
「ん?」
「ううん、なんか母さんらしいなあって思っただけ^^」
「そう?笑」
「んで?」
「それでね、さなえちゃんにね、
「お誕生日会はおうちでやるの?」って聞いたら、「そか!」って言って
その後、「うーんと…うーんと」って悩んじゃって 笑」
「「ここでやってもいいわよ」って言ったら
「ほんと!!」って言って…ハグしてくれたのよぉ!」
「さくちゃんの小さい頃とか思い出して、
お母さんちょっとウルッてなっちゃった 笑」
「そしたらその招待状、私にも渡してくれてね」
「「どーぞ!」って」
「それがまたすんごく可愛かったから」
「今度はお母さんのほうからハグしちゃった 笑」
「さなえちゃんっていくつ?」
「7歳」
「…だから次で8歳になるのかな」
「あー、ハグしたくなっちゃうね^^」
「かなたくん、いつさなえちゃんと知り合ったんだろう…」
「!?」
「さくちゃん、今『かなたくん』って言った?」
「うん」
「これ渡してくれた常連さんの名前だけど…」
「『かなたくん』ってもしかして『あおのかなた』くん?」
「!?」
「なんで母さんかなたくんの事知ってるの!?」
「ほら前に話したでしょ、電車で忘れ物しちゃった時のこと」
「うーん…」
「…あ!」
「『いちご大福』の!」
「そうそう!それそれ!」
「あれ届けてくれたの、かなたくんだったのよ!」
「そうだったんだ!」
「すごい偶然よねぇ~」
「だね^^」
「でも…かなたくんっぽいかも 笑」
「あんな親切な子、ほーんと今時珍しいわよねぇ」
「次お店に来たらお礼言っといて」
「あ、でも何か渡した方がいいわよね」
「でも菓子折りって歳でもないし…」
「大丈夫だよ」
「そうかしらぁ」
「逆にそういうの用意したら
「なんだか悪いですよぉ」って言いそうだし 笑」
「…そうね 笑」
「これでひとつ謎は解けた、と」
「あら、まだなにかあるの?」
「うーん…大丈夫、渡すだけだし」
「?」
ピー
「炊けたわ!」
「炊けた」
「笑」「笑」
「お母さんおかずあっためたりするから」
「さくちゃんはお箸とか用意してくれる?」
「うん、わかった」
「もうお母さんお腹ぺっこぺこ」
「ふふ^^」
あれ?
さくちゃん、まだ男の人ダメだったはずよねぇ…
「…でも歳下すぎるわよねぇ 笑」
「!?」
「さくちゃん!!」
「どうしたの!?」
バタバタバタ…!
「さくちゃんの言った通り、
ご飯が美味しく炊けてる~!」
「笑」
「よかったね^^」
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