エピソード51
「母さーん」
「ん?なに?」
「しおりさんが差し入れてくれた真鴨、
包丁で切らなきゃいけないやつなんだけど…」
「ここ台所ないから包丁なんて
「それがあるの!」
「まさか何森遥架とID交換するなんて…」
「あるの!?」
「ほらぁ万が一のために」
「えっと…確かここに…」
ガサゴソ…
「何このミラクルは…」
「あったあった!」
「結構本格的なやつだ」
「どうせ用意するなら
ちゃんと応戦できるやつをって」
「社長が」
「もう既に凄いプレゼント…」
「あの社長さんやっぱ凄いね、
いろいろ 笑」
「さすが遥架さん!」
「さすがにまな板はないけど」
「盛り付けのセンスもあるんですね!」
「その辺は工夫して切ってみるよ」
「そう?」
「じゃ合鴨はさくちゃんに任せるわね!」
「買ってはみたんですけど、
盛り付けの自信はなかったので」
「はーい」
「恥かかずに済みました 笑」
「ディップはパーティでよく出るから、
私もそれを参考にしただ~け 笑」
「あらま、素敵!」
「ママー」
「ん?さなちゃんどうしたの?」
「さなおなかすいたー」
「ご招待した人はみんな来た?」
「うん」
「じゃご飯食べよっか?」
「うん!」
「皆さん揃ったみたいなので、始めましょうか」
「さくちゃん、始めるって!」
「今切り終わったから持ってくー」
「うわっ!盛り付け名人がいた!」
「素敵ぃ~」
「テキトーに盛っただけですよ」
「桜ちゃんってホント色んな才能があるのね」
「遥架さん!」
「ん?」
タタタタターッ!!
「壁に貼ってあるイラスト、
アレもさくらちゃんが描いたんですよ!」
「ホントに!?」
「ハッピバースデートゥーユー♪」
「どっかで買ってきたのかと思ってた!」
「だって!さくちゃん!」
「なんかちょっと恥ずかしいです 恥」
「栞ちゃん、そろそろ始めるって!」
「あっ、はい!」
「あれ?」
「ん?どうしたの?」
「かなたくんは遅れてくるんですかね」
「!?」
「!?」
「!?」
「あら、かなたくんって『あおのかなた』くん?」
「はい」
「私同じ大学に通ってて…」
「さなちゃんの招待状も、
かなたくんからもらったんです^^」
「じゃあしおりちゃんは、かなたくんのお友達なのね?」
「はい^^」
「これで謎がひとつ解けたわね!さくちゃん!」
「う、うん」
「?」
「実はね、私とさくちゃんも、
かなたくんと知り合いなのよ!」
「え!ホントですか!」
♪~
「まぁ、私のほうは顔見知りって感じなんだけど 笑」
「前に電車乗った時にね、かなたくん私に席を譲ってくれてね」
「私ってばお喋りだから、かなたくんとお話して」
「んで駅着いて会社に行ったんだけど…私ったらドジで」
「荷物を電車に置き忘れちゃってね!」
「そしたらかなたくんが、
わざわざ会社まで届けてくれたのよ!」
「ねぇ、藤森さん!」
「え、ええ」
「そんな事があったんですねぇ!」
「ふふ 笑」
「でもなんかかなたくんっぽいかも^^」
「ふふ、さくちゃんと同じ事言ってる 笑」
「ふふ ^^」
「でね かなたくん、
さくちゃんの働くお店の常連さんなの!」
「さくらさんが働いてるお店って…」
「『ミ・テソロ』っていう輸入雑貨のお店」
「そのお店知ってるかも…」
「確か、、霞町にあるお店ですよね」
「そう」
「駅からちょっと離れてるんだけどね」
「ハッピバースデートゥーユー♪」
「あぁ思い出した!雑誌でありました!」
「でもあそこ…女性メインですよね」
「そう 女性メイン 笑」
「なんかそっちはかなたくんっぽくないかも 笑」
「私も最初はそう思ったんだけど、
意外に見る目があって」
♪~
「オーナーさんに気に入られてる 笑」
「そうなんですね 笑」
「さなちゃん、
今日はかなたくんは来るの?」
「おにーちゃん、今日こないの」
「え…」
「そなんだ」
「あらぁ残念ね~」
「でもね、おてがみもらったの」
「はい、はるかおねーちゃん」
「ケーキんときよんでね」
「…うん」
「あら、さすがさなちゃん!」
「お手紙を読んでもらうのは、
やっぱり遥架さんが適任よね!」
「…じゃあ乾杯しましょうか」
「えっと、
今日はさなちゃんにとっては
初めてのお誕生日会で…」
ぐすっ…
「初めてのお誕生日会で…
こうして、、
こうして、
たくさんの人に祝って
ぐすっ…
「ふうぅうぅ~」
「たくさんの人に祝っていただける事、
母親として…ぐすっ
‥とても感謝をしています」
「ありがとうございます!」
ぐすっ
「やっぱり真面目ね~藤森さん!」
「うるっ 笑」
「笑」
「笑」
「ふふ^^」
「ぐすっ、はは 泣笑」
「皆さんにとっても
…ふぅ
素敵な時間に、なりますように!」
「さなちゃん、お誕生日おめでとう!」
「おめでとうー!」
「おめでとう~!」
「おめでとう~!」
「おめでとうー!」
「おめでとう~!」
「ありがとーー!!」
「んふふ~^^」
「なんか不思議な子ですね、さなちゃんって」
「え?」
「あんなにも無邪気で純真無垢な子って、
あまりいないんじゃないんですか?」
「…そう、ですね」
「私さなえちゃんの担任ではないんですけど、
招待状を貰ってから意識してみるようになって…」
「さなえちゃん、困ってる子や泣いてる子がいると、
真っ先に駆け寄って声をかけてるんです、年齢に関係なく」
「ドアに頭をぶつけた、校長先生のところにも来て
『だいじょぶ?』って 笑」
「あは 笑」
「じゃぁ、さなちゃんもやっぱり知ってるんだぁ」
「え?」
「『笑顔の連鎖』ってやつ」
「!?」
「ともこさんも栞ちゃんみたいに友達だったんですよね?
かなたくんと」
「それも栞ちゃんと同じくらいの歳の頃」
「!!」
「実は私、かなたくんとメッセージを読む約束をしたんです、
高校のときに」
「意味がさーっぱり解らなかったけど、『手紙の代読』かぁって…
さっき謎が解けました、1つだけですけど 笑」
「私はまだ…」
「ひとつも解けてません 笑」
「あは 笑」
「なんだか向こうに、お酒も用意してくださってるみたいですよ」
「改めて2人で乾杯しません?同じ『かなたくん』を知るもの同士^^」
「…そう、ですね」
「アルコール、摂取したほうが良さそうですね、今日は 笑」
「うふ 笑」
「さ、行きましょ! ^^」
0コメント