Episode.9




「すげー…」



「あ゛?」


「まだ見てたのか、それ」


「だって俺たちのアイデアがゲームになるんだぞぉ」


「当たり前じゃん、

それ前提でやってきたんだから」


「陽介って、そういうとこクールだよな」

「エンドロールに自分の名前のんだぞ!」


「双葉氏、雑誌の取材まで受けてるし」


「そりゃそうだろ」

「双葉氏、業界じゃもう既に有名人なんだから」


「俺たちだってそのうち有名に…って」

「陽介そういうのに興味ないもんな」



「俺は『逆算』でいま頭がいっぱいなの」


「お前のが採用されて張り切んのも分かるけどさ」

「今はスカウトに集中してくれ」


「俺じゃあ違いすら分からん!」



「にしても…」



「今年の新歓は色々グレードアップしてんな」


「水着のお姉さん達、今年は更に布面積が「ちっさ!」なってたぞ!」

「コスプレのクオリティもアップしてるし」


「アカペラ、聴きに行かなくていいのか?」

「行かねえよ!」

「古傷をえぐんなっちゅうねん!」


「俺は行くぞ、聴きに」

「へ?」


「『逆算』のヒントがあるかもしんないし」

「あ、そっか」


「次は音楽系だもんな」


「交代で治氏が来る」

「お!」

「会長直々にスカウトか…おもろそうだな」



「ホントに行かないのか?」

「だから行かねえって 笑」


「行ってもボーッとして終わるの、目に見えてるもん」

「俺じゃなくて、仁美さん誘えよ」


「ゔっ(;・∀・)」

「なんで急に、棒高跳び並みのハードル持ってくんだよ」



「付かず離れずの距離でずっといたら」

「そのうち仁美さんに飽きられんぞ」


「んー…正論すぎて何も言えん」



「あ、治氏だ」



        「お待たせ~」




「B組も観に行くの?」


「いや、俺は会長の、スカウトのお手並みを拝見する方向で」


「じゃあ、仁美ちゃんと一緒に行けばいいのに」

「おんなじ事言われてる 笑」


「まだ部室にいるよ」

「誰かに来て欲しいって思ってるかもよ^^」



「…じゃあ、いってきます」

「お、久々に100円だ 笑」


「Σ(`Д´ )マヂデスカ!?」

「挨拶は定型だから…」


「これで部室行く口実ができたやん」

「あら治さん、超優しい! 笑」

「自分で言うてるし 笑」


「ほら、駆け足ぃ!」

「仁美ちゃん、待ちくたびれてどっか行っちゃうよ」


    「あ、はい!」


              「いってきます!」


「いてらー」



                            タタタタタ…   


「もう100円ね! 笑」



「あ、はい!」



「青春だねぇ^^」



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