эпизо́д.51-1





「ん~…」




「説明されてもクエスチョンマークだらけだわ。。」



「でも文人が『幽体離脱』してたってのは…

私のほうが理解しなきゃいけないって事は判った」



「で」



「『幽体離脱』してた文人に色々と親切にしてくださってたのが、

その…『幽霊』のたかしくんで」


「はい」


「そのたかしくんの先輩の元を訪ねに、

皆さんここまでいらっしゃってる、と」


「そうです」



「ん~…」




「やっぱり『幽霊』はまだ、私の中では受け入れられないわ。。」


「昔からおばけ屋敷とかホラー映画とか苦手だし」


「その『たかしくん』も

…実はここにいたりして」


「もー!かおりぃー!」
「そういうこと言わないの!」

「お母さん、トイレに行かれなくなっちゃうじゃない!」


「はは。。苦笑」



「…で」



「その先輩のお名前は?」



「『青野水希』というのが旧姓で、


ご結婚されて今は、

『金山水希』になっておいででやんす」



「あれ?『かなやま』さんって…



かおり、

もしかしてアレじゃない?」


「去年、近所に引っ越してきた…」

「あ!子供がよく泣いてる!」


「ご存知でしたか?」


「いや、違う町内会だから

直接は面識はないんだけどね」



「最初の頃は静かだったんだけど、

今年に入ってから子供が泣いてる声がよく聞こえてきてね」


「最近なんだか『虐待』とか、そういう事件が多いでしょ」

「だから「大丈夫かしらねぇ」ってかおりとも話してた事もあって」




「・・・」



「‥もしかしたら」



「それが孝くんの『心残り』なのかも」


「え!?」



「フント君確か、

「孝くんは16歳のままで時が止まってる」って言ってたよね」


「はい、確かにその様に申しましたが」



「孝くんは「14年経った今も先輩の心にいるかもしれない」、

それが心残りだと思ってるんだよね」


「はい、確かにその様に仰っておりました」



「あら、その『たかしくん』って子、


本当に16歳のままなのね」


「‥ですね」


「?」


「でもぉ…リアル16歳がここにいるからね」

「ん?」


「結愛、ぜんぜんわかんな~い」



「かおり、ゆあちゃんと二階で、少し遊んでらっしゃい」


「え?」



「この部分は、今のかおりが知る必要のない話題」


「大人になったかおりが自分で知ることの出来る話題」



「かおりは『楽しみは後に取っときたいタイプ』でしょ?」



「・・・」


「ゆあちゃん、猫好き?」

「うん、好きぃ~^^」


「お姉ちゃん、可愛い猫の写真集持ってるんだけど、

見たい?」

「見たい!!」

     「じゃ2階行こ!」


         「うん!」



とん とん!


とん とん!…



「ちなみに」



「ゆずきちゃんは今いくつ?」


「わたしですか?」


「19です」

「12月で20歳になります」


「あら文人と同い年なのね」


「はい、大学で同じサークルに入ってます」


「サークル!



…文人がぁ? 苦笑」


「はい、アカペラのサークルで」


「アカペラ!



…文人がぁ? 苦笑」


「あの『ねちっこい』歌い方で大丈夫なのぉ?」


「完全に『歌に』徹してもらってる、

みたいです 苦笑」



「まぁ二人は大人の階段の手前にいるから大丈夫、かな」


「?」



「かすみさん、続きをどうぞ」



「‥これは孝くんには酷な話なんだけど」


「孝くんの思う『心残り』、


たぶんそれは90%無いと思うの」


「きゅうじゅっぱー!?」


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