こくはく。



「あ、あの!早川先輩!」


「ん?わたし?」


「ぶぶぶ、ぶぉく、1年3組のい、い、飯田敏です!」



「イイダくんね」


「わたしになんか用?」


「あぁあの、えぇっと…」


「すすすす、好きでしゅ!!


つつ、つ、


付き合ってください!!!」





ピッ


ガタッ ゴロッ


パカッ




「イイダくん、

「はは、はい!!!」


取りあえずこれ飲んで落ち着こー」


「あ、あ、ありがとうございます!!」


シュコッ!


ごくごく!

「!?」


「…ゴホッゴホッ(;・∀・)」

「焦んない焦んない」


ごく ごく



「そしたら次、深呼吸してみよー!」



「はい、吸ってぇ〜」

「スゥウゥぅーー」


「はい、はいてぇ〜」

「はああぁぁぁ〜」




「はい、吸ってぇ〜」

「スゥウゥぅーー」


「はいてぇ〜」

「はああぁぁぁ〜」




「はい、はいてぇ〜」


「はぁぁ…ぁぁぁ………」




「ぁ…………」




「はい、吸ってぇ〜! 笑」

「ズウォォォーーー」



「はい、ちょっとずつはいてぇ〜」

「ふ…ぅ…う…



うぅ…ふっっ…



「ふふ 笑」

「はい、よーし!」

「( ´Д`)=3 フゥー」



「落ち着いた?」

「…は、はい」


「で」


「イイダくん」

「はい!」


「まず、


イイダくんはわたしの事知ってるみたいだけど…


わたし、イイダくんとは『はじめまして』なの」


「はい」



「わたしを好きって思ってくれる気持ちは、

素直に嬉しいよ」

「え!?」

「じじじ、じゃあ!!」


「だから落ち着いてって 苦笑」


「もいっかい深呼吸、する?」


「だ…大丈夫です」



「好きって気持ちは嬉しいけど、


いきなり『付き合ってください』っていうのは


イイダくん、段飛ばし過ぎ」


「じじじ、じゃあおぉお友達から!!」



「イイダくん」

「は、はい!」



「イイダくんがわたしと友達になるのって、


100パー付き合うため、だよね?」


「…は、はい」



「もしイイダくんとわたしが友達になっても

…今だと友達のままで終わると思う」

「え」


「それに友達って、『なってください』って

なるもんじゃないと思うけどなぁ」



「・・・」



「も、もしかして」


「ん?」


「先輩、好きな人がいるんですか!?」



「んー」


「その情報は、イイダくんには、

教える必要はないと思うんだけど…」

「え(; ・`д・´)」


「それにイイダくんの『好き』は、100パー

わたしの容姿を見て感じたことでしょ?」


「ま、まぁ…」



「女の子はね、もうちょっと複雑なの」





「例えばぁ…」




「あの校門とこに1年女子がいるでしょ」


「えっと…」

「ガン見しなぁいの 笑」


「あ」

「知ってる子?」


「あ、はい」



「あの子、たぶんイイダくんの事好きだよ」

「え!?」


「でもイイダくんみたいに、

『イノシシ』みたいにはなってないでしょ?」


「・・・」


「あの子は告白する前に、

想いを伝えても大丈夫かどうか、


ある程度の確信を得るまで我慢してると思うの」


「だからああして、

自分の好きな人が告白してる様子を

遠くから見守ってる」



「・・・」



「イイダくん、試しにあの子と友達になってみれば?」

「え!?俺がですか!?」


「だってもう知り合いなんでしょ?」


「は、はい…」



「あの子が抱いてるイイダくんへの気持ち、


…ひょっとしたら、


イイダくんが抱いてる、わたしへの気持ちと近いのかもしんないし」



「あの子に女の子の、

「好きって気持ち」を教えてもらうといいよ」



「・・・」



  「はい、ぐずぐずしてないで」



「べんきょーして出直してこーい!」

「え!?今ですか!?」


「あー、そっかぁーー( ̄▽ ̄)」


「イイダくんは、

こういう勇気はないひとなんだねぇー( ̄▽ ̄)」


「ゔっ(;・∀・)」



「あの子と友達になって、

女の子の好きって気持ちがなんとなく分かってきて」


「それでもわたしへの気持ちが変わらなかったら…

そん時また告ってきんしゃーーい!」



「・・・」



「じ、じゃあ」


     「い、いってきます!」


「いてらー」








「お、沖田ぁ」


「あ」

「飯田くん…」



「今日一緒に帰らない?」

「え!?」


「あ、いやならいいんだ」

「いや、いやじゃない、けど…」


「・・・」「・・・」


「じゃあ俺、チャリ取ってくるから

ここに集合ね」


「う、うん」




「あ」


  「沙織〜」


「あ、希ぃ」




「なんか、


遠巻きにオーディエンスがスゴいんだけど…」



「ふふ^^」


「告られちゃった♪」



「またか  笑」


「もう沙織、2年になってこれで何度目〜?」



「んー、わかんない」


「もしかしてモテ期かも? 笑」




「んでこの前はぁ、



自分のお姉ちゃんに、

己の告白っぷりを報告するよう、


命じた…んだっけ 笑」

「うん 笑」



「んで今回は?」




「自分の事を好きであろう女の子と、


友達になるよう命じた 笑」



「さすがのドS 笑」



「ほら、あの校門で自転車並べて話してる2人」


「あ、飯田くんだ」

「希、知ってるんだ!」


「おんなじ中学だった 笑」



「たぶんね、あの2人…付き合うと思うよ♪」

「え!ホントに!」



「まぁ確率的には70%くらいかなぁ…」


「たぶん女の子のほうが一枚上手だと思う^^」

「そしてその女の子よりも、


沙織は…



200枚くらい上手だろうね 笑」


「なにそれー 笑」


「ほら、部室戻るよ!」



「ほーい」



    「・・・」




「なに」




「この、



遠巻きオーディエンスの


温かい目線は…笑」



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